過去ログ - さやか「さやかちゃんイージーモード」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage ]
2011/04/17(日) 16:51:38.02 ID:CxPl+XYro
 アパートの階段を降りる。足音は金属音。
 錆びて老朽化した足元に、さやかは時々不安を感じる。足元を見て、崩れはしないか、と思いながら下っていく。

 漸く下りきった、と思ったとき、さやかの体が柔らかい何かにぶつかった。

足元から視線を正面に持ってくると、髪の赤い女が尻餅を付いた格好で、「イテテ…」と言っており、その周りには2,3個のりんごが散らばっていた。

「あ…ご…ごめん…」

 さやかは散らばったりんごを拾い集めながら、早く出勤しなければならないのにこんな事に時間を取られなければいけない自分を呪った。

「あ、いいからいいから。あんた急いでいるんだろ?」

 そう固辞する相手を無視して、さやかはりんごを拾い集め、その女に渡した。機械的な動作だった。
 女はそれを受け取ってから、落ちていないりんごを紙袋から取り出し、

「食うかい?」

と言って差し出したが、さやかはその時既に女に背を向けて、勤務先に向かって走りだしていた。

「このアパートの人…だよな。」

 その女、佐倉杏子は受け取ってもらえなかったりんごをかじりながら、そう呟いた。


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