過去ログ - 鹿目まどか「魔法少女の力量を超えて,その日みる夢」
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(チベット自治区)
[saga ]
2011/04/20(水) 00:22:23.46 ID:LUYFHUX40
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ワルプルギスの夜、歯車は廻り続けていた。
暁美ほむらとの戦いで壊された部分も、さやかの魔力で次第に修復されてきた。
歯車が重厚な金属音を立てて廻るたびに、ビルが、街の建物が、また地面から引き剥がされ、
ワルプルギスの重力空間にとらわれていく。地面に亀裂が走る。
まどかたちの故郷、見滝原は死んでいく。
悪夢はやまない。
「それが、キミの願いなんだね。鹿目まどか」
白い獣が、告げた。この悪夢の闇の底へ導く、終止符への声だ。
「うん」
まどかは答えた。
その言葉が、悪魔との契約を成立させる。
世界はこの瞬間を待ちつづけていた。ずっと。
インキュベーターのわっかのついた耳がのび、まどかの胸へ、ゆっくりと迫る……。
世界が祝福した。
最高の魔法少女の誕生を。
「ウぅッ────っ!」
最高の魔法少女になる少女、その素質のまどかが、魔力との接触の苦痛に喘ぐ。口から苦悶が漏れる。
「ゥアアぁぁっ─────!!」
苦しみの声が止まない。それほどに苦しい。あまりにも苦しい。まどかの目に涙が溢れる。
でも、世界はまどかを祝福し続ける。
「あああああああアアア──!!」
絶叫。内部から魂が抜き取られる。世界が、光に包まれる。魔力があふれ出てくる。
目から涙の雫を滴り落とし、まどかは抜き取られた自分自身───ソウルジェムを、見つめていた。
抜け殻になっていく自分を想いながら。光り輝くピンクの小さな卵が、自分の姿と知りながら。
その運命を受け入れるように。
ひかり輝くソウルジェムを両手に収める。
目を閉じ、ついに自分が人間でなくなった感覚を全身に受けとめ。
魔法少女まどかはそこに立っていた。
プエラ・マギ。
魔法少女まどか。マギカ。
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