過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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10: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:20:52.40 ID:j/+2kGnd0
―…***…―
雨が止む。
少女は再び自分から離れ、上条の下へと行く。
その背を眺めながら、一方通行は小さな確信を抱いた。
これで報われたのだと。
ようやく報われたのだと。
安堵にも似た気持ちで納得する。
きっと、これは燻り続けていた彼の想い。
愛ではなかった。
それは恋であっても、決して愛ではなかった。
育む術を知らず、ただ、ずっと仕舞い込んでいた行き場の無かった恋心だ。
それが、今、やっと報われたのだ。
あの笑顔を見て。
吸い終えた煙草を灰皿にねじりこみ、空になった煙草の箱を小さく指先で千切っていく。
紙吹雪のように風に乗せて放ってやる。
あの少女は同じだ。
甘い香りを残して、口の中には微かな苦さを残していく。
一方通行は小さく笑う。
多分、これで本当に自分は前に進めるのだ。
「さてと……そろそろ帰らねェとな」
今日は珍しく美琴がお迎えに行っているはずだ。
自分の部屋に直行して、食事の準備をするだけの時間は十分にある。
雲間から差し込む光の梯子を見上げてから、雨の残滓の残る街の中へと踏み出す。
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