過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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3: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:09:27.73 ID:j/+2kGnd0


「ちょっと入れてね」

「ン」

少女の為に、もたれ掛かっていたショーウィンドウから背を離し、一方通行はかっちり一人分のスペースを作ってやる。
小柄な少女はすっぽりと収まると蒼みがかった銀色の髪から雫をぽたぽたと落としながら、スカートの端を軽く絞る。
傘を忘れてしまったのかとも思ったが、少女は奇妙なことに、その手にしっかりと傘を握っている。
水色の、少女の白いワンピースにとても良く映える色だ。
すぐに一方通行は少女が濡れている理由に気付く。不自然に膨らんだ傘。おそらく骨が折れてしまったのだろう。

「もう…これ気に入ってたのに」

少女が頬を膨らませて溢す。
一方通行は小さく噴出した。


「……笑わないでほしいんだけど?」


返事の代わりに紫煙を少女の顔に吹きかけた。


「ちょ、ゲホッ…甘い?」


涙目になりながらも、甘い香りに戸惑う少女を尻目に、喉を震わせて笑みを押し殺す。
どうやら彼女の周りには甘い香りの煙草を吸う人間はいないようだ。
些細な発見に、少し嬉しくなっている自分に気付く。浮き足立った感情を知られまいと、責めるように睨みつけてくる少女の前で、わざとらしく細く長い煙を吐く。
少女は諦めたのか、それとも、彼がこういう振る舞いをする人間だと知っていたのか、溜息を吐くと、彼と同じく空を見上げる。


そして、少女がぽつりと、口を開いた。





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