過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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830: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/05/31(火) 22:20:27.87 ID:0lmuhAkw0
リビングの姦しさに顔をしかめつつ、一方通行は小皿にとったスープを佐天に差し出す。
「ん…」
健康的な薄桃色の唇をほんの僅かに尖らせてスープをちゅっと啜る。
佐天の横顔を見つめる一方通行の瞳には緊張感漲っている。
「んーーちょっとしょっぱいですね。塩多かったんじゃないですか?」
はい、残念でしたと言うように眉を寄せる佐天の手から小皿を受け取ると、一方通行も倣うように口を付ける。
自分の口を付けたところに一方通行の唇が触れたような気がして、佐天は少し落ち着かない心地になる。
「ちょうどいいじゃねェか」
「一方通行さん濃い味好きでしょ。一方通行さん的に若干物足りないくらいが丁度いいんです。
特にスープとか煮物は時間が経つにつれて味が深まっていくんですから。
作りたてで丁度いい塩加減だと思ってると、次の日しょっぱくてびっくりすることもあるんですよ」
佐天の言葉に、思い当たるところがあったのか、一方通行は顔をしかめつつも、憎まれ口一つ返さない。
「そういえば冷蔵庫のレバーのディップって一方通行さんが作ったんですか?」
「まァな」
「どういう感じに食べるんですか?」
「焦げ目が付く程度に火で炙ってパンに塗って食うのが妥当だな」
簡単にパンと口にしたが、この男が何気に食べているパンが一斤800円もする物だと言うことを佐天は知っている。
無能力者の一人暮らしの高校生には、超高級品なのだ。
「ああいうのは上手いですよね。単純な煮物が苦手なのに」
「レシピが詳細なやつは何とかなるンだよ」
再度自分の作った煮物の味を舌の上で転がし、納得がいかないのか首を傾げた。
佐天は不思議な気持ちになる。
学園都市第一位に自分が物を教えることになることが信じられなかった。
「それにしても、気になるなぁ」
レタスをちぎりながら佐天はぽつりと呟く。
「あれだけ想い上げてた人がいなくなったのに、案外切り替え早いですよね」
「ズルズル引っ張って欲しかったのか?」
「そうじゃないですけど…ただ、何かきっかけでも無いとあんな風にさばさば切り替えられるとは思えなくて。何か知ってます?」
「……さァな…」
「怪しい〜」
「うぜェ。顔近づけンな」
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