過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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837: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/05/31(火) 22:42:25.44 ID:0lmuhAkw0


「お前のやったことは十分誇りに思っていいことだと思うぜ?」

唐突な浜面の言葉に、思考の海から引き戻された。
怪訝な顔をする一方通行の方は見ずに、浜面は手すりに肘を掛けると、階下を見下ろす。

「いい加減さ、救えなかった子がどうとか考えるんじゃなくて、救えた子達がいることを誇りに思えよ」

「知った風なことを言うな」

「別にお前に同情して言ってるんじゃねーっての。ただ、救ってくれた奴が今にも泣きそうな顔してたら救われた子達が素直に喜べないだろ?」

一方通行は、静かに煙草を吸い込む。
細い糸のような紫煙を溜息に乗せて吐き出す。


「…………そンなツラしてたつもりは無かったンだけどな」

「気付いてたのは絹旗と美琴ちゃんだ」

浜面は親指で、後ろを指す。
部屋の中では麦野が蕩けそうな顔で赤ん坊を抱き上げ、絹旗がそれに何かを言っている。
美琴と滝壺は少し離れて談笑に興じている。


「お前グルグルグルグル悩み過ぎじゃね?もっと、シンプルに行けよ」

「ハッ ――― 馬鹿はいいねェ」

「そうか?馬鹿なら迷わずに滝壺を守れるっていうなら、俺は全然馬鹿で構わないぜ?そういうカッコ付ける余裕って俺には無いからよ」


得意げな浜面の笑顔に、一方通行は無言で蹴りを叩き込む。


「痛い!!何で蹴るんだよ。今いいこと言っただろ?」
「ウルセェ。ドヤ顔で臭ェこと抜かしてやがるのが気に入らねェ。つーか、浜面のクセにカッコ良さ気なことほざいてやがンのがムカつく」
「ちょっと、何この子。すごく我が侭なこと仰ってる!?美琴ちゃ〜ん、ヘルプ!!」
「あと、どォでもいいことだが、何でアイツの事名前で呼ンでンだよ」
「あれ?何か怒ってらっしゃる!?痛いッ!骨ばった膝がツボに絶妙に……痛いッ!!」



浜面の尻に蹴りを入れながら、一方通行は気付かぬ内に子供のように無邪気な顔をしていた。





「あの子がお腹にいた頃は麦野の絹旗が家事とかしてくれたから。浜面はお仕事があるし」

「麦野さん結構料理上手だもんね」

殺されかけたこともある美琴としては少々複雑ではあるが、滝壺の友人である麦野ともはや敵対する理由はない。

「みさかは抱っこしないの?」

「私は…ほら、電磁波があるから…赤ちゃんびっくりしちゃうでしょ」

美琴は寂しげに笑う。
滝壺は首を傾げて美琴のお腹を見る。
滝壺の疑問に答えるように、お腹を撫でる。

「お腹の中には電磁波行ってないらしいけど、生まれたら赤ちゃんに耐性があるかわからないの…」
「それで大丈夫なの?」
「うん、お母さん呼ぶから。それにある程度大きくなれば気にならないレベルだし」
「そういうことじゃなくてね」


「だったら、アイツにベクトル操作してもらえばいいでしょ」

滝壺の言葉を遮るように、赤ん坊を胸に抱き抱えたまま、麦野がベランダに目を向ける。
一方通行は浜面と肩を並べて煙草を吸すっている。
何を話しているのかわからないが、他愛もない話で盛り上がっているのだろうか、一方通行がふざけるように浜面の尻に蹴りを入れていた。

少年のようなやりとりの二人を見ながら、滝壺も同意する。

「うん、そうしてもらえばいいよ。ウサギさん優しいし」




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