過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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866: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/06/03(金) 01:00:33.72 ID:+tnc2CcU0
「今日は早めに帰った方が良いよ」
冥土帰しは、濡れた窓の外を指す。
灰色と白の景色。
夜中から降り続けていた雪は、もはや学園都市中を白く染めあげていた。
灰色の空は、尚飽きもせずに綿のような塊をしんしんとこぼし続ける。
「俺の能力には関係ねェよ」
「そうだったねぇ。どちらにせよ、昼過ぎからはもっと人でごった返しそうだ」
暇つぶしがてら、目を通していたのは妹達の調整のデータ。
膨大な量をそれを、一方通行は昼過ぎから夕暮れ時も近い今までの、ほんの数時間でほとんど読み終えていた。
「もったいないね」
「アンタもくどいな」
「君の頭脳と能力があればきっと良い医者になれるよ」
「散々命を奪ってきた奴に言う台詞じゃねェな」
偽悪的に、唇をひきつらせたような一方通行独特の笑みを浮かべた。
「まだそんなことを言ってるのかね」
叱るように、呆れるように冥土帰しがため息を吐き出す。
「人を殺したからといって人を救ってはいけないわけじゃないよ」
「わかってる。けどな…俺は人助けをしたかったンじゃねェ。あくまでもアイツ等を助けたかったンだ。だから、そいつが終わっちまった今はちょっと先のことは考えらンねェ」
「……そうかい。それならば、無理にとは言えないねぇ。気が変わったら言ってくれ。君ならいつでも僕の片腕に迎え入れるよ」
窓の外の灰色の景色に視線を移し、一方通行は鼻を鳴らす。
「重すぎるだろ、それ」
冥土帰しがレントゲン写真を見終え、ライトを消すと同時に看護師が飛び込んできた。
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