6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:01:54.58 ID:JO1JEfB90
脳波の共有というのは、つくづく厄介なシステムだと番外個体は思った。
知りたくない記憶だろうが、受け止めたくない感情だろうが、全てお構いなしに流れ込んでくる。
番外個体が例の記憶を『見た』のは、今日の日没前のことだった。
それ以来、彼女はすっかり塞ぎ込んでいる。
その原因は、もちろん彼女自身の感情もあっただろうし、他の妹達から受信した負の感情も含まれるのだろう。
(手前らを、ぶっ殺そうとしてた男に惚れるだなんて)
ありえない。
そう思うことは、簡単だった。
しかし、自分もその『ありえない』個体(とはいえ、他の妹達とは少々事情が異なるのだが)の一人である以上、
その否定が意味を持たないことも分かっていた。
一方通行を慕う妹達は、全体から見ればごく僅かである。
しかし、そもそもの分母が分母なのだ。
その数は、軽く常識の範囲を超えていた。
その全員が、負の感情を発している。
それは、悲しみであったり、怒りであったり、嫉妬であったり。
種類は様々であるが、それらは一貫して一つの法則を持っていた。
(頭が痛い…)
それらは全て、番外個体へと流れ込むのだ。
先ほどから続く頭痛は、彼女の精神だけでなく、脳への物理的な負荷を訴えているのかも知れなかった。
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