過去ログ - 番外個体「今は、まだ」
1- 20
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:03:04.35 ID:JO1JEfB90
学園都市の夜は早い。
ただでさえ人通りの少ない夜道を、番外個体は意図的に路地裏を選ぶようにして歩いていた。

容姿の美しい、若い女性が一人きりで。
何も知らない人間が見れば、どうぞ襲って下さいと言っているように見えただろう。
しかし、彼女は腐ってもレベル4の電力使いである。

今夜、ここまで歩いてくる間にも、強引なナンパを三件、カツアゲ狙いの不良を二件、
それぞれ実力行使で追い払っていた。
路地裏のスキルアウトなど、問題ではないのだ。

だったら、少しでも人通りの少ない道を選びたかった。

今の自分が、ひどい顔をしていることは分かっている。
番外個体の周りには、どういう訳か優しい人間が多い。
そんな彼らが、今の番外個体を見かけたとしたら。
どうしたんだ?何があったの?とほぼ百パーセントの確率で声を掛けてくるだろう。

そのような事態を、番外個体は望んでいない。
誰かに全てをぶちまけて、慰めてもらって、それで何かしらの救いを得られるような、
番外個体はそういうタイプの人間ではなかった。

否、そうすることで、確かに何かしらの救いは得られるのかもしれない。
だけれど、『とにかく』番外個体はそのような事態を望んでいなかった。

素直じゃない。
そんなことは、自分が一番分かっている。

(あー、もう無理かも)

不意に、ズルズルと番外個体は座り込んだ。
そもそも頭の容量が一杯であるのに、演算を行うことが無茶だったのだろう。
もはや吐き気を覚えるほどに、頭部の痛みは悪化していた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
37Res/17.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice