過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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12: ◆ySV3bQLdI.[saga sage]
2011/04/22(金) 00:42:08.21 ID:Nr8ofJqko

 もっとも、いくら威力と速度だけが優れていようと、要はただの打ち下ろし。
避けるのは容易い。そんなことは杏子とて分かっていた。これで退くと考えたのだ。
 砕けたコンクリートの破片が飛散する。そのうちの幾つかが互いの身体を打つが、どちらも退きはしなかった。

「悪いけどそれ、俺も同じなんだよ。使い魔でも人を食うんだろ? そうすると家族や知り合いが騒ぐ。
そんな事件が続くと世間に不安が広がる。結果的に奴らに付け込む隙を与える」

 男は前に前に、息がかかりそうな距離まで接近してくる。槍という武器の特性を理解した動き。
 しかも今度はコンクリートにめり込んだ槍を片足で踏ん付けている。そう簡単には覆せない。

「はぁ!? 奴らって誰さ!」

 槍を縮めるかとも考えたが、随分としっかり食い込んでいる。変身していない今の状態では取り出すのも一苦労か。
 この男の前でソウルジェムを晒すのも抵抗があった為、杏子は戦い方を拳に切り替えた。

 まず左手で拳を繰り出すが、見事なまでに空を切る。
顔は勿論、胴を狙った拳でさえ、男は上半身を動かすだけで避けてしまう。
 如何に身体能力が強化されていようと、目にも留まらぬほどの速さで拳は打てない。
単純なパンチやキックは逆に自分の体勢を崩すばかりで効果がなかった。

 こと格闘戦に措いて、杏子はほぼ素人だった。槍を使う以上、魔法少女の中では優れている方だと自負しているが、徒手空拳となれば話は別。
 魔女との戦いで体術を使うこともあるが、あくまで身体強化の恩恵と、槍と組み合わせて使うことで真価を発揮する。
 それらの条件を排除して単純な技量のみで比べた場合、この男の体捌きは杏子と比べ物にならないほど練達していた。

 特に杏子の場合、槍というリーチに優れた武器を生み出せる上に伸縮自在。三節棍のように鎖で繋いだ柄をばらし、
変則的な軌道も取れる。槍と鎖で、ほとんどの状況に対応できるからこそ、他の戦法を磨いてこなかった。

 それ故の油断があったのかもしれない。殺さないよう手加減していたせいもあるだろう。
 しかし、だからといってこれは――!




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