過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[saga sage]
2011/04/22(金) 00:49:57.91 ID:Nr8ofJqko
驚いたのはそこからだ。
屋上の縁まで逃れた男は、先ほどの再会時と同じ、まるで友人に挨拶するように笑顔で手を挙げたのだ。
「ってことで、そっちが追ってる方は任せたぜ。元々、俺の本業じゃないし」
追撃の手を止めた杏子は混乱した。
だったら最初から横取りするな、と怒鳴る余裕すらなかった。
「あ、当たり前だ! 最初からあいつはあたしの獲物なんだかんな!」
動揺を隠せなかった。まさか、そこから逃げる気か、と。
その証拠に挙げた手の反対、男の左手は屋上の柵を掴んでいた。
「って、おい!!」
「俺は次のお仕事。ちなみに見滝原って街だ」
「聞いてねーよ!」
軽いやり取りに男は苦笑すると、二本指で敬礼のような仕草を杏子に向け、
「じゃあな。バイバイ、あんこちゃん」
またしても聞き捨てならない捨て台詞を放った。
「だからあんこって呼ぶなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
杏子は再び爆発。
思わず、最初の長さに戻った槍を怒りに任せて投擲した。
(やべっ――!)
投げた後ではっとなる。
刺されば即死である。横取りくらいで殺す気はない。投げておいて言うのも何だが、流石に男の身を案じた。
が、既に杏子の意思を離れた槍は一直線に目標を貫かんと飛ぶ。もう、どうにもならない。
結論から言うと、槍は男を貫くことはなかった。
男が胸の高さの柵に手を掛け、その外――夜空に身を躍らせたのだ。
槍は落下する男の頭上を掠め、闇に消えた。
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