過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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212: ◆ySV3bQLdI.[sage saga]
2011/06/18(土) 01:23:38.84 ID:irJ70goGo

 髭面に風穴が開くのを一顧だにせず、銃は次の標的を探る。その眼まで精密な機械であるかの如く、彼女は眉一つ動かない。
動くのは位置取りをする摺り足、狙いを定める腕と引き金を引く指だけ。
 しかし、ほとんど揺れない首から下とは裏腹に、その頭脳は高速でフル回転していた。

 二丁拳銃なんて曲芸、普段なら絶対しない。
激しい動作やパフォーマンスを好まないほむらが、敢えて両手に銃を持った理由は一つ。 
 そうせざるを得なかったから。 

 目の前には魔女の結界により、目に悪い原色の空間が広がる。
真っ暗闇より多少ましとは言え、感覚強化の恩恵を加えても、視界は利き辛い。
音に至っては、銃声や悲鳴が混じり合い、響き合い、全く当てにならない。
 だと言うのに、狙いの付け辛い二丁拳銃で適当に撃っても命中するのは何故か。それだけの敵が密集しているからだ。
 十や二十では足りない数。撃てば向こうから当たりにくると言っても過言ではないだろう。
 
 二丁の拳銃を以てしても押さえるのが精一杯。弾倉を交換する暇も与えてくれない。
 もっと連射の利く火器もあるにはあるのだが、そうそう弾薬の補充ができるものでもないし、なるべくなら節約したかった。
 それに何より……背中合わせで戦っている彼――鋼牙と呼ばれる男に、どこまで手の内を晒していいものか。それも不安だった。
 ほむらは背後の鋼牙を横目で見た。彼は脇目も振らず華麗な剣の舞を踊っている。動きの少ないほむらとはどこまでも対照的に、
全身を使った軽やかな、そして鮮やかな剣技だった。

 その剣の一振りで、使い魔が二、三体まとめて切り払われる。それでいて、まるで息を切らさない。こうして見ると剣も便利なものだと思う。
 攻撃力は互角かそれ以上、速さでは劣っている。彼なら、発射された銃弾を斬るなんて芸当も可能かもしれない。
 と、弾幕を潜って髭の使い魔が足元まで飛び込んできた。

――なら、こっちが勝っているのはリーチと貫通力。それに……。

「ふっ!」

 それを蹴り上げ、ローブの顔面にぶつけてやる。顔もないくせに面喰っている隙に、手近なもう一匹の髭を引っ掴んで投げる。
 三匹の使い魔が一直線上に並んだところへ、狙いを定めて引き金を絞る。たったそれだけで三匹の使い魔が頭部を穿たれて消滅した。
 残りはやはり、労力、だろうか。
 などと余計なことを考えていると、二丁同時に弾が切れた。使い魔はまだまだひしめいている。

「まったく……」

 傍から見れば絶体絶命のピンチにも、ほむらは全く動じない。ただ、呆れ混じりの呟きを漏らした。
 やはり剣の方が、こんな時は便利かもしれない。何せ弾切れがないのだから。


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