過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
1- 20
218: ◆ySV3bQLdI.[sage saga]
2011/06/20(月) 00:17:37.15 ID:QCYXacFwo

 揃って串刺しにされ、磔にされた使い魔たちの身体は弛緩し、やがて霧散した。
壁に突き刺さった剣を、力を込めて引き抜く。あとは起き上がらんとする残りの影と、転がっていた髭面に剣を振り下ろして終わり。
楽なものだ。
 怒涛の攻勢を凌いだ鋼牙は、ふーっと大きく息を吐いた。それでも息は乱れておらず、肩はゆっくり一定のリズムで上下する。

 一部始終を横目で見ていたほむらは、改めて思う。一時だとしても彼が敵でなくてよかったと。
 鋼牙もまた、彼女の魔法の詳細は知らずとも、その力には一目置いていた。事実、彼女は自分とほぼ同じ数の使い魔を一人で捌いているのだから。
 白いコートの騎士と、黒を基調とした衣装に身を包んだ少女。
 互いに、相手が背中を任せるに足る相手だと、千の言葉を費やすより深く理解する。
 それはフロアが完全に結界に覆われても変わらない。胸には一片の不安もなく、背中合わせに戦う二人は奇妙な一体感と高揚を感じていた。
 
 微妙な均衡ながらも、前後で完璧な役割分担を即興で作り上げる。
 だからこそ、崩れる時も脆かった。
 それは二人が戦いだして数分後、どこか遠くから悲鳴が届いた時だった。

「今の声は!」
 
「他にも人間がいたか……っ!」

 使い魔と戦いながらでも、二人は敏感にその声を捉える。取り分け、ほむらにとっては、よく知った声。絶対に聞き間違えるはずがない声だった。
 それは、助けを求める二人の少女の悲鳴が重なったものだった。

「今の悲鳴は、まさか――!?」

 ほむらは声の方向を睨んで呟いた。
 鹿目まどかと美樹さやか。
 二人は"以前にも何度か"、この日、この場所にいた。今日も来ているとは知っていたが。
――それでも、まさかこんな厄介事が重なった時に結界に入ってくるなんて!!

 ほむらの顔が歪む。
 一刻も早く彼女のもとに駆けつけなければという焦燥感が、冷静な思考と判断力をチリチリと焼いた。
 攻撃の手は止めない。けれども、注意はどうしても彼女の方に向いてしまう。
 その焦りが、機械のように精密な射撃を鈍らせた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/669.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice