過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[sage saga]
2011/07/08(金) 00:17:37.97 ID:+cDj65g7o
恐る恐る右手が上がる。
この男は最初からそうだった。右手は常にポケットの中にあり、何かを弄っているような動き。
不審に思い、ポケットを探ってみると案の定、
「これは何かしら?」
「拾ったんだよ! 化け物がうろついてたんだ、武器になると思って……」
出てきたのは錆が浮き、刃が欠けた小振りなナイフ。鞘にも収めず、剥き出しで入れられていた。
かなり古そうな血痕が見られる。拾ったというのもあながち嘘ではないのか。
こんなナイフでは使い魔はおろか、人を殺傷するにも不十分だろう。
むしろ、こんなものにすら頼りたくなる心理の表れかもしれない。
本当にこの男、ただの一般人なのかも。
そんな予感さえ生まれ、信じたはずの直感がグラつく。
「ふん……」
どの道、警戒するには及ばない。
ほむらは、鼻を鳴らしてナイフを足元に投げ捨てた。元の持ち主がそうしたように。
キンッと高い金属音を立ててナイフが転がり、何とはなしに、ほむらはそれを見やった。
刃の表面はほとんど錆に覆われていたが、一部はまだ周囲の景色を映している。映っていたのは闇と見下ろす自分の顔。
それともう一つ。
自身の背後――肩の後から覗く黄色いリボン。
背筋を冷たいものが走る。
同時に理解した。正義の魔法少女を自負する巴マミが、銃を出してから一度も制止の言葉を発さなかった理由。
既に彼女は、自分を敵として捉えている。交渉や会話の余地なしと考えている。
故に、気付かれないようリボンを背後に這わせた。
振り向きもせず、ほむらは素早く右手にも銃を握る。そして前方の標的に狙いを定める。
「動かないで!!」
と、言いながら銃を向けたのは、マミでなく――美樹さやか。
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