過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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26: ◆ySV3bQLdI.[saga sage]
2011/04/22(金) 01:17:12.78 ID:Nr8ofJqko
――運命ってのは確かにあると思う。
もし、まどかが遅刻していなければ、彼とすれ違うこともなかった。

 こんな……本当に小さなきっかけで、僅かな変化で未来は大きく変わる。
もし、彼に出会っていなければ、あたしの人生はまったく違うものになっていた。
 些細な出来事の積み重ねで将来は形作られているんだと、つくづく思う。
なるほど。これが、いわゆるバタフライ効果という奴か。

 全ての物事には発端がある。
 ただし、あたしの場合、始まりを何処に定めるかが難しい。
あたしを取り巻く日常、という意味ならば、この時点ではまだ薄皮一枚で繋がっていると言えるだろう。

 けど、この街の平穏はとっくに終わっていたんだ。ただ、あたし達が気付かなかっただけで。
 いや、正確には知ってはいた。連続する怪死、変死、自殺に失踪――それらは隣の県だったり隣町だったりしたけど、
市内でも数人、犠牲者は出始めていた。

 でも、どこか自分からは遠い場所で起こったものという認識が拭いきれなかった。
 それらの事件を調べると、遠くから少しづつ、でも確実に、この街に近付いていたのに。この街を蝕んでいたのに。
 あたしは、そんなことにも気付かず、のん気に笑っていたんだ。この日、この時までは。

 だから、あたしは始まりをこの時に置こうと思う。敢えて、あたしの日常が消え去る夜ではなく、彼との出会いの朝に。

 きっと逃れられない運命って奴は、遠からず訪れる、あたしという人間の終焉に向けて、この時から加速を始めていたんだ。

 他愛のない話題、温い日常。けれど全部が大切で、掛け替えのない時間だった。
 でも、それを自覚したのはずっと後。もう手を伸ばしても届かないという事実を突き付けられた後だった。
 失って初めて大事だと気付く――なんてありがちで、聞き古した言葉。
 ほんと、バカみたいな話……。





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