過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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30: ◆ySV3bQLdI.[saga sage]
2011/04/22(金) 01:26:44.49 ID:Nr8ofJqko

 最初から答えのわかり切った質問だった。こう答えることもザルバなら百も承知だろう。
これは確認ではなく彼なりの鼓舞であり、彼の好きな軽口だった。

『しかし残念だったな、鋼牙。ようやく指令を終えて帰れるところだったってのに。
使徒ホラー殲滅の次は、偶然に立ち寄った奇怪な街の謎解きとホラー退治か。難儀なもんだ』

 面倒臭そうにザルバがぼやく。

 鋼牙はここ数ヶ月、番犬所からの指令を受けて日本中を飛び回っていた。
つい先日その指令を完遂し、我が家に戻る途中、ふと立ち寄ったのがこの街。

 番犬所とは、鋼牙のようなホラーを狩る魔戒騎士を束ねる協会であり、その指令は絶対。
指令に逆らえば厳しい罰が待っている。
 だが、誰に言われなくとも、元より人を喰らう存在を許す気はない。それがホラーであろうと、なかろうと。

「それと、魔女も見つければ狩っていく」

自身の信念の下、鋼牙は街に留まる決意を固めた。

「やれやれ……仕事でもないってのに。また厄介事に首を突っ込む気か? 鋼牙」

 呆れ声のザルバに、鋼牙は答えなかった。必要がなかったからだ。言葉にしなくても、相棒は誰より知っている。
 冴島鋼牙とは、そんな頑固で不器用な生き方しかできない男。
 誓いと己が正義を決して曲げず、愚直に貫く男だ。

 守りし者となれ。そして強くなれ。

 片時も忘れず、胸に秘めている父の言葉。
人に仇なす敵を打ち倒し、人を守るという約束。
 人には守る価値がある。たとえそれが強欲故にホラーに取り憑かれるような人間であっても。
この世に喰わせてもいい命など、一欠片たりともありはしない。

 だからザルバも軽口で応じる。それが、彼らなりの絆のあり方だった。

「いや、違うな。厄介事がお前を呼んでるのさ。
来るなら来てみろ、ってな。これは無敵の黄金騎士様の宿命か?』

「同じことだろう」

『違いない』

 鋼牙はザルバの応答に初めて苦笑すると、数秒程度の、しかも立ったままの休憩から歩きだした。






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