過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[saga sage]
2011/04/22(金) 00:29:36.73 ID:Nr8ofJqko
*
第一話「終焉」
*
街は夜の帳が下り、すっかり静まり返っている。
時刻は21時を回った頃、都会と呼ぶほど大きな街ではないにしろ、いつもなら往来は人で賑わっていてもおかしくないのに。
赤い長髪をポニーテールに括った少女は街を歩きながら、そんな感想を抱いた。
少女は街の光景に違和感を覚えながらも、足取りはしっかりしたもので、そこに不安や恐怖は微塵も感じられない。
それもそのはず、少女はこの違和感を知っている。いや、むしろ待っていたとも言えた。
繁華街の一角、大通りから少し入った辺りに小さな廃ビルがある。自殺や不慮の事故で所有者が転々としている、
いわゆる"いわく付き"の物件だが、少女にとっては知ったことではなかった。
口にポッキーを加えたまま、鼻歌交じりの軽い足取りで開いた窓から不法侵入を試みる。
「ん? この感じ……」
だが、ビルに一歩入った瞬間、少女は再びの違和感に眉をひそめた。いや、違う。違和感がないことに違和感を覚えた、と言うべきか。
さっきまでの、おどろおどろしい感じ。奇妙な寒気や、肌が粟立つざわつきが今はまるで感じられない。
おかしい。
確信したのは、瓦礫や散乱した物を蹴飛ばしながら、暗い階段を三階まで上がってからだった。
三日前に訪れた際は、ここで結界に遭遇したのに。魔女の手下どもが徒党を組んで襲いかかってきたのに。
「ちっ! やられたか……」
言うが早いか、少女は階段を二段飛ばしで駆け上がる。今やここはただの廃ビル、もう警戒しながら歩く必要はないからだ。
一分と掛からず屋上階に達した彼女は、屋上の扉を蹴り開けた。
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