過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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500: ◆ySV3bQLdI.[saga]
2011/09/12(月) 03:18:27.51 ID:J5M2j+xZo

「はぁっ……!?」

 素っ頓狂な声を上げて、杏子は目を見開いた。
 何故なら、オープンカフェの椅子に腰掛けているのは黒いコートの背中。
 顔は見えないが間違いない。こんな暖かい季節にコートってだけでも怪しいのに、
雷の紋章と双剣とドリームキャッチャーの刺繍となれば、もう間違いない。

「ぁんの野郎……!」

 杏子は憎々しげに呟くと、早足で向かう。
 自分が足を棒にして見当違いの場所を探している間に、奴はのんびりくつろいでいたのだ。
理不尽な恨みだが、杏子の怒りは燃え上がった。ちょうど手持ちのお菓子も切らしていたし。

 しかしカフェに向かう途中、不意に背筋に寒気が走る。熱せられた怒りが水を掛けられたみたく冷めた。
 きな臭い、不穏な気配は歩道に沿って建っているビルから。
 廃ビル――なのだろうか。見た目は綺麗だが人気が感じられず、今はどこも使っていないらしい。

 まるで何者かに見られているような錯覚。魔法少女としての勘が、ここは危険だと告げる。
 杏子は一瞬迷ったが、すぐに視線を正面に戻す。今はこちらが先決だ。
 ソウルジェムが幽かに光るのにも気付かず、杏子は先を急いだ。

 近付くほどに明らかになる。男の髪型も、テーブルの上を埋め尽くしている物も。
 ケーキにパイ、アイスクリームやパフェ等々、色とりどりのスイーツが所狭しと並んでいた。
 自身でも大食いを自覚している杏子でも胸焼けがする光景。
いったい、どこにこれだけの量が入るのか。どうすれば、これだけのエネルギーを消費できるのか。

 無邪気にケーキを頬張るのん気な横顔に口の端が獰猛につり上がる。
 杏子はテーブルの対面、僅かに手が置ける程度に空いたスペースに、

 バン!!

 と力の限り掌を叩き付ける。
 皿が跳ね、ぶつかってガチャガチャ音を鳴らす。
 そして手元のケーキに向けられていた男の顔は杏子を見上げ、口を開いた。

「よっ、あんこちゃん」



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