過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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6: ◆ySV3bQLdI.[saga sage]
2011/04/22(金) 00:31:29.94 ID:Nr8ofJqko

「あの野郎……やっぱりいやがった」

 憎々しげに呟いた先には、黒い人影が円い月に照らされ、ぼんやりとした輪郭を浮かび上がらせていた。
背中に刺繍された、二本の連結された剣の紋章が月光を反射している。

 どうやら、ここが戦場であり、始末が着いたのはつい今しがたらしい。
 影は両手に持った銀色に光る剣を振りながら、流麗な仕草で両腰の鞘に収めた。

「おい! そこの黒いの!!」

 キン、と鞘から金属音を鳴らし、黒いのと呼ばれた影が振り向く。

 二十代前半から半ばほどの若い男だった。
 中央で分けた黒髪に、脛まで丈のある黒のロングコート。
おまけにインナーも黒ならパンツも黒だ。これでは黒いのと呼ばれても仕方がないだろう。

「よっ、あんこちゃん」

「テメー……」

 目元の優しげな男は愛想良く、にこやかに笑って手を振る。
 見るからに人の良い笑顔に対する少女の声は重く、低い。明らかに怒りが籠っていた。
 それもそのはず。少女の名前は「あんこ」などではない。

「またその名で呼びやがったな! あたしはきょうこ、佐倉杏子だ! 何度も言わせんな!」

「悪い悪い。呼びやすいもんだからさ。それに、あんこちゃんのがかわいいと思うけどなぁ」

 おどけた上に悪びれない男の態度に少女――杏子は左手をかざす。
中指にはめた指輪、赤い宝石が光を放つと、一瞬で杏子の手の内に槍が握られた。
 杏子は迷いなく男に向け槍を突きつける。しかし事ここに至ってなお、男は微笑を崩さず動揺も見せなかった。



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