過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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628: ◆ySV3bQLdI.[saga sage]
2011/10/17(月) 01:06:49.82 ID:DTAKjFNQo

 杏子の胸には確かな自信があった。
 ただの突撃、ただの刺突であったならば避けられるかもしれない。だが、これならばと。
決して慢心ではなかったが、杏子は忘れていた。つい一昨日も、取ったと確信した瞬間に覆されたことを。
 
――!?

 刹那の時の流れの中で、杏子は驚愕する。
 突き出した槍が、不意にもう一度伸びたのだ。
 当然、踏み込んで腕を突き出した以上、伸びることはあり得ない。
あり得ないが、現実に意思とは無関係に槍が手繰られている。

 視線の先にも、槍の先にも零はいなかった。穂は空を突き、代わりに加わったのは根元を握る腕。
 杏子は考えるより早く、悪寒と言う名の危険信号に従い、空いた左手を側頭部で固める。
直後、ゴッと激しい衝撃が襲い、視界が揺さ振られた。
 やがて揺れが治まると、そこに立っていたのは、左手で槍を掴み右足を上げた零だった。

 刺突の際、零は左半身を引き、同時に右足を跳ね上げた。
軸足を動かしつつ回し蹴りを放つのは身体のバランスを崩す危険があるが、その点は問題なかった。
何せ握って身体を支える棒が、向こうから提供されている。

「女の顔を蹴ったりしない……なんて言ってたのは、どこのどいつだったかな」

 腕に感じるのは硬いブーツの感触。走るのは痛みと痺れ。
 この程度で済んだのは僥倖だった。
咄嗟の防御が間に合わなければ、一撃で蹴り飛ばされ、意識を刈り取られていただろう。
 それでもなお、杏子は皮肉を飛ばす。未だ治まらぬ緊張と痺れを癒す時間稼ぎの意味もあった。

「随分と紳士的な奴もいたもんだな」

「あたしの記憶が確かなら、つい一昨日あんたが言ったと思うんだけど」

「言ったっけ? そんなこと」



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