過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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797: ◆ySV3bQLdI.[saga]
2011/12/13(火) 00:19:09.06 ID:KCCPJiKoo

「俺はいい」

「私も遠慮するわ」

 二人してケーキと紅茶を断った。淹れる前に言えばいいのに、と思わないでもない。
 昨日から思っていたが、この二人は揃って無愛想と言うか、常に端的で率直らしかった。
 それが鋼牙に対しては"沈着"や"厳格"。ほむらには"無礼"や"陰気"。
同じ事実であっても評価は真逆に変換されることに、さやか自身も気付いていない。

 きっぱりと言い放つ二人に、マミは然して気分を害した様子もなく、にこやかに微笑む。

「そうですか。まあ、無理強いはしませんけど、結構な距離を歩かせてしまいましたから。気が向けば、お茶だけでもどうぞ」

 ほむらにも目配せして、紅茶だけを目の前に置く。その大人な対応にまどかは尊敬と憧れの眼差しを送っていた。
 さて、マミが着席したので、いつでも始められるのだが、誰も口を開こうとはしない。
 ほむらはカップに手も付けず目を伏せ、鋼牙は微かな音も立てず、紅茶を口に運んでいる。
武骨な印象の剣士だが、その所作は見惚れるほど上品で優雅だった。

「如何ですか?」

「美味い」
 
 お世辞ではない。鋼牙はお世辞を言えるほど器用な性格ではない。
 事実、これまでの彼の人生で二番目に美味しい紅茶だった。
 そもそも冴島家では高級品を使っているので、等級はさておき。
淹れ方も倉橋ゴンザには劣るが、執事として長年仕えている老紳士と少女を同列に語るのも酷だ。
それも経験の差のみで、時間と共に埋まるだろう。

「まぁ、ありがとうございます」

 簡潔だが、それ故に明快な賛辞。マミは心から嬉しそうで、誇らしげだった。
 かぐわしい香りに誘われて、さやかも口に含んでみる。
鋼牙の言う通り、よくはわからないが美味しい。今まで飲んだ物とは違う気がした。気がしただけだが。
 チラッとほむらを見遣ると、いつの間にか彼女もカップを傾けていた。



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