36:VIPにかわりまして40キロ圏内からお送りします
2011/04/27(水) 20:45:27.11 ID:vvAR7SNH0
再び景色が捻じ曲がり、いまだに灰色の世界は消えない
断片的な映像が淡々と続いていく。
どうやら記憶の時間が流れているようだった。
凄いスピードで記憶が進んでいく。
1日、半年、一年・・・おそらく10年ほど時間を飛ばしている。
見知らぬ男の生涯が流れていく。変わらない毎日。何か作業しているようだったが
やはり記憶の断片はハッキリせず、もやもやと認識できない。
記憶はある地点で進むのを止めた。
ひどく蒸し暑い空気だった。
狭い小屋のような場所で、机の上にはごちゃごちゃと資料が並べてある。
窓から入る太陽の光はじりじりと熱く、よりいっそう濁った空気を室内に篭らせる。
男?「・・・・くそっ!!なんで完成できないんだッ!!」
男は机を蹴り飛ばし、椅子にだらりともたれ掛かった。
ヒゲはぼさぼさに生え、目蓋の下は青紫に変色している。
どうしても分からないことが立て続けにおきている。
今まで何の変化もなかった。変わらない日常が過ぎて、また変わらない明日が来る。
それが今はどうだ?わけの分からないことに振り回されて、わけの分からないことをしている。
もしかして罠にはめられたのかも知れない。
留守電のメッセージが正しければ、あいつは逃亡犯で俺たちを裏切ったことになる。
ならなぜ?どうして俺の元に現れた?どうして俺に助けを求めた?なぜ?知るか。
自分の親友を疑わなくてはいけない。男は罪悪感に駆られてため息を吐き出した。
少し落ち着こう・・・。
男は立ち上がりすっかり覚めてしまったコーヒーを口に含んだ。
もう日差しも弱くなり始め、外からはヒグラシの鳴く声が聞こえる。
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