過去ログ - キャスター「宗一郎様。 ここは…学園都市ですわ」
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10: ◆CERO.HgHsM[sage saga]
2011/04/25(月) 09:12:05.31 ID:GjrvZVV5o


  「……ター ……スター …・・キャスター」


抑揚のない声が魔女の心を揺らす。

この声を聞き間違えたりなどするわけもない。
呼ばれている。
愛する男が呼んでいるのだ。
今すぐにでも起き上がり、返事をしようと思うものの身体は一向に動こうとしない。

ならばこれは桃源の夢の残滓なのかもしれないと魔女は思う。

もしそうならばなんと残酷な仕打ちなのだろう。
そうぼんやりと胸の内で考えていた時だった。

  「目を覚ませキャスター」

魔女の頬にゴツゴツとした冷たいなにかが当てられた。
それが掌なのだと判った瞬間、急激に魔女の感覚が現実に引き戻された。

  「……宗一郎……様?」

目を開いた先にいるのは愛しい男。

  「あぁ……夢なのでしょうか? またこうやって宗一郎様の顔を見ることができるなど……」

魔女は思わずそう呟きながら男の顔に恐る恐る手を伸ばす。
まるでガラス細工を扱うような繊細さでもって小さく白い手が愛しい男の頬を撫でた。
指先に返ってくるその感触から、男が確かにここに存在しているのだと判り魔女の瞳にじわりと涙が浮かび上がる。

数瞬か数時間か。

魔女が落ち着いたのを見計らってから男が淡々と問を投げかけた。

  「事情は理解しているか? これが夢かどうか、ここがどこなのかすら私では判別できん。 おまえはどうだ?」

そして、ようやく魔女は気付いた。

ここが男と女が共にいたお山ではないということに。
廃ビルかそれとも工事現場か?
どちらにしろ人っ子ひとり見当たらない寂しく荒れ果てた屋内だった。

  「……ここは?」

そう呟いた時を待っていたかのように、そして同時に様々な“記憶”が魔女に流れこんできた。

アヴェンジャーとの問答。
そしてそれとは別に用意された知識。
この感覚には覚えがある。

“英霊”は“座”より召喚される際、その時代に馴染めるよう最低限必要な知識が用意される。
そして今、魔女の頭の中を駆け巡る情報はまさしくそれだった。
此処で初めて魔女は己がいる場所の名を知った。

まずは男の疑問に答えよう。
そう思った魔女は静かに自分たちがいる場所の名を口にした。



「宗一郎様。 ここは…学園都市ですわ」



――かくして“魔術”と“科学”が絡みあう学園都市に魔女と男が降り立つこととなる。

男の名は葛木宗一郎。
魔女の名は葛木メディア。

続きが始まる。
二人が求めるは人間らしい平穏、穏やかな日々。

それが叶うかどうかはともかくとして。
今この時より学園都市で二人の日々が始まったのだ。


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