過去ログ - キャスター「宗一郎様。 ここは…学園都市ですわ」
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18: ◆CERO.HgHsM[sage saga]
2011/04/26(火) 00:13:59.90 ID:JWja9gJvo

「だが問題がある」

そこまで言ってゆっくりと立ち上がる葛木。

もとよりこの男は現実がどのような姿を見せようが、戸惑うことはない。
葛木にとって、現実とはただ理解するだけのものでしかなく、そして理解が出来ないのならばそれでもいいと思っているのだ。

葛木のいう問題とは現実的な懸念だった。
既にこの男が見据えているのはこの地でどのようにして暮らしていくのかということだけ。

「見知らぬ土地で生活を始めるのは難があるだろう。 私に出来るのは教員の真似事だけだ」

そう、今の彼等には住居どころか戸籍すらない。
身一つで何処とも知れぬ新世界で生活を始めるなど、葛木宗一郎とて初めてのことだ。

しかしその葛木の懸念は

「宗一郎様、心配は無用です。 私がこの地の管理者に話を通してきますわ」

紫闇のローブのフードをかぶりながら静かに請け負うキャスターにより解消された。

「……そうか」

この地の管理者という言葉に葛木宗一郎は聞き覚えがない。
どのような意味をもつことなのかすら判らない。

けれどそれが自らの理解では及ばぬ問題であるということを理解した葛木は只一言


「だが……無理はするな」


それだけをキャスターに告げた。
葛木の朴訥な気遣いを聞いてキャスターの口元が幸せに緩む。

「えぇ……お任せください宗一郎様。 すぐに戻ってまいりますわ」

空間転移という高度魔術によりゆらりとキャスターの姿が歪みだす。

そして次の瞬間キャスターの姿がかき消えた。

キャスターの向かう先。
それは学園都市の管理者の元だ。

キャスターは既に地を走る龍脈の先にある巨大な結界を感知していた。
そこにあるのは入り口も出口もない閉じた結界。

並の魔術師ならば接触しただけで廃人になる強力な結界である。

けれど。

神代の魔女であるキャスターに魔術の防壁など何の役にもたたない。

幾重にも編みこまれた魔術防壁を苦も無く突破して。

キャスターは学園都市の管理者、“アレイスター・クロウリー”のもとへ到着した。


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