過去ログ - キョン「なぁ古泉、相談があるんだが」
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110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:11:55.28 ID:qUc/tf4AO
軽く準備運動をした後に走り出す。速度は学校で行うマラソンの時よりは断然速い。何せ自転車に乗っている新川さんを追いかけてるのだから。軽くこいでいたとしても自転車は自転車である。ちんたら走ってたらすぐにおいて行かれるだろう。
毎朝のランニングが日課となったのは約二ヶ月前。そう、森さんが訪ねてきた時あたりである。何でも俺も最低限の体力を付けておいた方が良いとのこと。確かに非現実的な世界にいるのだから当然といえば当然なのだろうか。今まで考えもしなかった俺の方がおかしいのか……。まあいい。過去のことを気にしてはいけないな、うん。そういうことにしとくが吉だろう。


111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:12:26.91 ID:qUc/tf4AO
さてこのランニングなのだが、どうやら機関は俺の身体能力も完全に把握しているらしい。初めたばかりの頃、新川さんは今よりずっと遅いペースだった。だが運動部に所属せずにダラダラと過ごしてきた俺には十分すぎるほど辛かったのは言うまでもない。走り終えた頃、俺はもうクタクタでへばっていたわけである。
だがどうしたことか、走った後の状況はペースが速くなり距離が伸びた今でも変わりはない。それはもう俺の体力を完璧に把握してるとしか思えず……おそるべし、機関といったところか。


112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:13:48.30 ID:qUc/tf4AO
野郎が汗だくになって走っている描写なんて誰の得になるんだ、て感じなので少し昔を振り返るとしよう。
一ヶ月くらい前、俺は森さんに告白した。あの柔らかな笑顔と頼りになる雰囲気。そしてその奥にある女の子のような素顔。好きになるなという方が無理ってもんだ。そんな魅力的な女性に告白し、しかもオッケーをもらえるとは入学した手の俺には考えもつかないだろうな。
少し驚いた顔をした後に涙目で微笑みながら『こちらこそ、よろしくお願いします』と言う森さんは、今までの人生のベストショットだと言っても過言ではないね。


113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:14:21.14 ID:qUc/tf4AO
俺と森さんはその時交際を隠そうと話していたわけだが、喫茶店の奥の方に座る俺たちに話しかけてきた方がいるのだ。そう、新川さんである。
『その話、詳しく聞かせてはいただけませんでしょうか』
そう話しかけられたときの驚きと言ったらなかった。森さんもビクッとしたあとどうしようという表情で珍しく取り乱していた。せっかく恋人同士になったのにもう別れさせられるのか、もしかしたらもう会えないかもしれない、と内心大荒れの俺たちに新川さんは優しい口調で続けたのだ。


114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:14:57.56 ID:qUc/tf4AO
『安心してください。別れさせようなどと思っていません』
そういうと一礼して新川さんは森さんの横に腰を下ろし、これからのことを話し始めた。
簡単に言うと、機関は気づくだろうが黙認するだろう。だがハルヒには気づかれないようにしてくれって感じだ。
その後新川さんは俺に向かってこう言った。
『この娘をよろしくお願いします』
以下略



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:15:34.20 ID:qUc/tf4AO
さて、もう40分くらい走っただろうからそろそろランニングも終わりである。家の近くの公園に寄り、新川さんの指示の元に筋トレとストレッチ。いやはや俺も大分筋肉がついてきたものだ。
筋トレの後新川さんと一緒に我が家に戻り、俺はシャワーを浴びた後に朝飯と弁当の準備を始める。新川さんは横で俺の手元などを見ている。初めの頃は大分指導されたものだが今ではほとんど何も言われない。俺も少し成長したのかね。
両親が起きてくる頃には朝飯は並べ終わっている。両親もさすがに新川さんの存在に慣れており、談笑しなさっておられるぜ。ま、もう二ヶ月たつしな。ちなみに新川さんはバイト先の上司ってことにしてある。俺に料理を教えるってことで朝飯に同席しているのである。俺の料理への母親の評価は『私を越えた』。新川さん恐るべし。


116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:16:21.47 ID:qUc/tf4AO
いつもはこの後何事もなく学校に行くのだが、新川さんが母親にこう切り出した。
「実は、彼に手伝ってほしい仕事がありまして」ん?こういうことを新川さんが言い出すのは初めてじゃないだろうか。
俺は一応バイトしてるってことになっているが、実はしていない。バイトの時間となっている時間は新川さんに執事の何たるかを叩き込まれている時間だからだ。何故そんなことをしているのかというと、新川さん曰く『これも修練』。よく分からん。だが御陰様で俺は家事が人並み以上に出来るようになった。母親は滅茶苦茶喜んでいた。あの穀潰しをここまで……と新川さんにそれはもう感謝していなさったさ。余計なお世話だ全く。


117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:16:55.27 ID:qUc/tf4AO
新川さんの指導は厳しく、それを乗り越えた俺はもう使用人として働いても恥ずかしくないらしい。ド素人を二ヶ月で鍛え上げるその手腕は機関の名は伊達ではないということなんだろうか。しかし、新川さん曰く『執事の道は修羅の道』。まだまだ叩き込まれそうであったのだが……。ちなみに森さん曰く『メイドの道は修羅の道』。まさか森さんも新川さんに鍛えられてるのではと疑う今日この頃な訳だ。


118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:17:21.66 ID:qUc/tf4AO
話を戻そう。
「実はこのあたりの名家に使用人を募集しているところがありましてね。本当は私ともう一人が受けたのですが、私は家の事情で断らなければいけなくなったのです。そこで彼にお願いしようと。なに、心配いりません。彼はどこに出しても恥ずかしくない能力を持っています。しかし、住み込みでの募集なのでご両親の許可を頂きたいと。ええ、もちろん学生であることを配慮してもらった仕事内容になっております。私としては彼にもう一歩成長してもらいたいと思っておりますので、是非と……」
なんか凄いことになっていた。結局新川さんの話術によって承諾されることになった。母親曰く、せっかく楽だったのに残念だわ。うるせぇやい。


119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/04/29(金) 01:18:16.59 ID:qUc/tf4AO
どうやら今日の帰りにお迎えが来るらしい。学校に行く時新川さんが耳打ちしてきた。
「もう一人というのはもちろん森のことです。最近なかなか会えないと言っていたでしょう?しかし、仕事中ということを忘れないように」
新川さん……あなたは神か……。
新川さんと別れて学校に向かう。その前に一言君らが思っているだろうことを代弁しよう。

以下略



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