348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[saga]
2012/09/16(日) 21:18:41.38 ID:hyBXK1vs0
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「いつも利用している肉屋があるのですが、昨日の夜に前を通りがかった時に何かおかしな雰囲気だったのです」
「どうしたのだろうと尋ねてみたら、そこの主人は息子が南東の山に出掛けたきり帰ってこないと言うのです」
勇者「南東の山……? なんでそんなところに」
「あの事件以来、動物達も表立って住めるようになりましたからね。随分平和になりました」
勇者「……そうか。それで? いや、何となくわかるが……」
勇者「その息子さんは何歳だ?」
「確か、十二くらいだと」
「主人も三ヶ月前までは一緒についていっていたらしいのですが、もう慣れたと言う事で一人で行かせたようです」
勇者「ふむ」
「その時は、何かちょっとしたアクシデントがあって帰るのが遅れているだけでしょう、と宥めたのですが、今朝も寄ってみると……」
勇者「やはり帰っていなかった、か」
「はい」
勇者「肉屋も早起きだな」
「不謹慎ですよ。クマが出来ていました」
勇者「まぁ、それもそうか。しかし……あの山か」
「ええ。私もそれがどうにも気になって」
「何かの事故としても、悪い予感が当たらなければ良いのですが」
勇者「……」
〜 〜
――南東の山
勇者「……あまり変わらないな、ここは」
魔剣〔やはり気になっていたのだな。あの使用人の話を〕
魔剣〔転移魔法ですぐさま来れる所という事は、余程思い入れがあるのか〕
魔剣〔この山……否、この洞窟と言うべきか〕
勇者「まぁ、そうだな。わざわざ記憶する程便利な所ではないし、憶えるのも難しいくらい特徴がない」
魔剣〔普通は、だな〕
勇者「ああ」
魔剣〔ここで何があった? それとも、何かあるのか?〕
勇者「何かあっては欲しくないな。それはあまり考えたくない。そうだな。ここでは何かあったんだ」
勇者「知りたいか?」
魔剣〔……〕
勇者「調べながらなら話しても良いかな。後で聞かれても面倒だし、良い機会だ」
勇者「少し昔の話になる。ここはな、俺が勇者になった場所だ」
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