過去ログ - 神裂「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です」
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851: ◆FzAyW.Rdbg[saga]
2011/08/01(月) 00:03:41.92 ID:nmTg5VXmo


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 風紀委員に興味はありませんか。

 突然の言葉に目をぱちくりさせる鋼盾に、初春は真摯な顔を崩し、先ほどまでの柔和な笑顔に戻った。


「ごめんなさい、なんかすごくいきなりでしたね」


 びっくりさせちゃいましたかね、と微笑む初春。
 
 それはまさにその通りで、鋼盾はコクコクと首を縦に振る。


「そうですよね、すみません。
いやー、いろいろお話聞いてたら、なんかちょっと思いついちゃって。
 風紀委員の夏季公募も近いですし、閃いちゃったんです」
 
 
 夏季公募。

 風紀委員はボランティアに近い組織で、学生の自発性がその根幹にあるという。

 無論、厳しい研修と選別を乗り越える必要があるためその門戸は狭い、少数精鋭と言えば聞こえはいいが、その実、慢性的に人手不足で火の車。

 質を維持しながら人を増やすという難題に、関係者は頭を悩ませていると聞いたことがあった。


「……びっくりだよ。えーと、ほら僕みたいな無能力者に風紀委員なんて……」

「誤解されがちですが……風紀委員の募集要項には能力条件はありません。
 白井さんみたいな“戦える人”っていうイメージが強いですけど、必ずしも能力が必要ってわけじゃないんですよ」


 もちろんあったほうが有利なのは否めませんけど、でも。

 初春は掌を鋼盾に見せてから、両手で紅茶のカップを包み込み、己の能力を説明する。


「私の能力はレベル1の定温保存(サーマルハンド)。紅茶や、例えばタイヤキなんを暖かいまま保つことぐらいしか出来ません。
 こんなの戦闘にも情報収集にもまったく使えないチカラです。でも、皆に支えられて風紀委員をやっています」


 何も、私たちは超能力戦隊ってわけじゃありません。

 風紀委員に必要なのは「治安を守りたい」という意思ひとつです、と初春は朗らかなまま口にする。


 鋼盾としては、はっきりいってなぜこんな話になっているのかがわからないというのが正直なところ。

 自分にはそんな立派な意思などない、と口にしようとしたところで、それを制するように初春は口を開いた。




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