過去ログ - 神裂「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です」
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934: ◆FzAyW.Rdbg[saga]
2011/08/06(土) 14:25:22.49 ID:reOwnCyXo


「……御坂さんとあの日出会って、いろいろ話をして、少しだけどきみのことを知った。惑い悩める普通の女の子だと知って、随分驚いたよ。
 無能力者への偏見に臍を噛んでいたぼくは、そのくせ超能力者であるきみに見当違いの偏見を押し付けていた。反省した。同じ人間だと知って、嬉しかった。
 ―――それでも、今だってきみへの嫉妬をすべて殺せたわけじゃない……想像だけど、佐天さんもそうかもしれないね」


 その言葉に三人の少女は小さく身を震わせた。

 きみたちの友情を否定する気は一切ない、そこは間違わないでくれと枕を置いて、鋼盾は話を続ける。


「きっと彼女は笑っていたんだろう。その笑顔は嘘じゃない、きっと本物だ、疑わないで欲しい。
 だけど君たちと別れて、狭い学生寮でひとりの夜を過ごすとき、彼女が笑顔でいられたかはわからない。
 少なくともぼくはキツかったよ……自分が世界で一番かわいそうだって、そう思わないとやってられない夜もあった。
 意外かもだけど……そういう妄想は、逆にけっこう慰めになるんだよ実際―――この世界は間違ってる、ぼくは悪くないってね」


 それは寄る辺なき夜

 永遠に続くかと思われたあの闇


 幾度となくそんな夜をひとり鋼盾は超えてきた。

 込み上げる感情を抑えきれず涙したこともあるし、レベル5になってこの街に君臨する妄想に耽ったこともある。

 自傷だ自慰だと笑ってくれて構わない、あの長い長い長い夜をやり過ごすにはそれしかなかったのだ。






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