2:1[saga]
2011/05/02(月) 22:50:49.93 ID:KiJIc2MSO
少女「ある日突然に我々の世界と人間の世界は繋がれた」
少女「"ドア"と呼ばれる次元の歪みによって」
少女「原初の時代は互いに調査団を送り合うだけの半不干渉を貫いていたが……」
少女「引き金を引いたのがどちらが先かは判らない。ともかく、この二つの勢力は戦争状態に陥った」
少女「我々には人には無い異能の力と圧倒的な身体能力、そして多様な種族というアドバンテージが有った」
少女「しかし、同じように人間には科学というアドバンテージが存在したのだ」
少女「我々が身体能力の高さ故の自惚れから機動力を奪う武具を着けなかったこと」
少女「貴族や大地主の有する騎士と金を払って雇う傭兵を主力としていたこと」
少女「そういった諸々の理由はあるが、人間の重火器による集団戦法は我々にとって脅威であった」
少女「互いに相手の持ち得ない優位を敷くこの戦争は拮抗し、泥屁泥を掻き分けて進むものに成り果てた」
少女「さらに悲惨なのはお偉いさん達の妙な意地のせいで、お互いに得るものもないままこの茶番を長々と続けてしまったことだ」
少女「数字だけを見るならば、両世界とも国が全体の2割ほど消滅し、人口は3分の1以上の減少という大きな戦火」
少女「もっとも、民の多くと兵の数多を殺したのは魔法でもミサイルでもなく、相手側のウイルスだったがな」
少女「抗体も無いのだから仕方ない結果では有る」
少女「そうやって、戦う力を失った二つの世界はなし崩し的に和平条約を結んだ」
少女「ただ、それぞれの国民は収まらなかった」
少女「疲弊しきり戦争を止めたいという強固な意志は有ったものの、それ以上に憎悪と嫌悪が強かったのだ」
少女「まぁ、ひとえに自国を持ち上げて敵国をずり下げるような意図的、或いは虚偽的な情報統制の弊害と言っておこうか」
少女「そこで、だ。戦争を続けるワケにも殴り合いを止めるワケにもいかなくなった末に出された結論が……」
少女「代理戦争だ」
少女「システムとしては酷くあっさりしたもの。欲しいものやしたいことを相手に提示して、代表同士が争うだけ。勝てば晴れて祈願成就となる」
少女「負けた場合は相応の対価を払う」
少女「我々の代表は適当だが、人間側はちょうど現れ始めていたヒーローと称される異能者達が代表を務めることが多い」
少女「ちなみに、この代理戦争というシステムが出されたのは100年も前のことだ」
少女「時の流れの大いなるによりて双方の憎しみも大部薄れた今となっては、当初の理由は忘れ去られている」
少女「エンターテイメントや危険な遊び、ちょっとした儲け話程度に考えられることが多い」
少女「実に嘆かわしい。実に愚かしい」
少女「軍が出動しないのであれば、これ程大それた夢を叶えることの出来るフィールドは存在しないではないか」
少女「そう、例えば……」
少女「世界征服のような笑い話の実現を」
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