40:87[saga]
2011/05/22(日) 07:18:44.10 ID:rZ9489cc0
少しもじもじとしていたが、可愛い女の子だった。
最初、記憶を失う前に知り合いだったらと思ったけれど。
まだ俺の前には記憶を失う前に知り合いだったヤツが現れない。
……まさか、友達いなかったのか。昔の俺。
第二位だったからか? それとも、そこまで酷い性格だったのか……。
「か、垣根さん?」
「……あ。悪ぃ。つい考え事を……」
「その……記憶がないって」
「聞いてたのか。……ああ、俺には記憶がない。垣根なんて呼ばれても相変わらずたまに自分のことかと忘れることがあるしな」
笑って話してみたが、女の子、いや初春は困った顔をしていた。
「その……記憶をなくして大変かもしれませんけど……」
「ま、ゆっくりと戻していくさ。……でもな、未だに誰も面会になんて来ないからよ。友達いねぇのかな、俺。なんて思ってさ」
「……!」
「学園都市の第二位っていうやつだからなのか?」
「そ、そんなことないと思いますよ。私の友人にも学園都市第三位がいますが、その人は知り合いが多そうですし」
「ふーん。……それか昔の俺が性格悪かったりするかもな。それか学校なんて行ってなかったり」
「ど、どうなんでしょう……?」
記憶を失って、医者や看護士としか話しなかったせいか、俺は初春と長く話をしていた。
初春は最初、戸惑っていたが、話を進めていくうちに向こうから話しかけてくれた。
……記憶を失ってからこんなにも話したのは、初めてだった。
病室にいると、なにも楽しいことがなくてつまらなかった。
だけどこの時間はとても楽しく、早く過ぎていった。
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