過去ログ - 初春「私があなたを助けます」
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50:87[saga]
2011/06/11(土) 00:49:36.96 ID:JHd4PPel0
【垣根帝督】

暇だ。
俺は病室の天井にあるしみを見ながらそう呟く。
一昨日作った傷のせいで、すぐ退院できるはずが一週間近くも増えたのだから仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。
でもこのわき腹にある傷を見て、俺はあのことが頭から離れなかった。
あの黒ずくめの男たち。
俺を研究動物のような目でみる科学者。
あの夜のことは本当のことだったのだろうか。
そう思いたいけれど、この傷の痛みを思い出すたびそれは現実のものと思い知らされた。
俺はあの時、追われていて。
もしかしたら今頃はアイツの実験動物として苦しめられていたかもしれない。
でもそうはならなかった。
誰かがそう……、あの黒ずくめの男たちを……、殺したんだ。
アレはどうなったんだ?
現実なら今頃ニュースにも出ているはずだ。
もしかして、あれからはずっと夢?
そして昔の俺だったら、どう対処したんだ?
あんなこと、日常茶飯事だったのか……?
ズキッ、と頭に頭痛が走る。


アア
   思イ出ソウトスルタビニ

                頭 ガ 痛 イ


またあの痛みだ。
俺が記憶を思い出そうとするたびに、この頭痛はおきる。
頭を押さえながら、さっきまでの思考を忘れようとしているときに
コンコンッ、とロックが病室に響いた。

「だ、誰だ……?」

寝ていた体を起こしながら考える。
この病室に訪れるのは医者と看護士のみ。
その両方とは違うロックの音だった。
またあの科学者か? と一瞬疑ったが、その声によってかき消された。

「初春です。……その、お見舞いに来ました」

初春。初春飾利の声だった。


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