過去ログ - 初春「私があなたを助けます」
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71:87[saga]
2011/06/26(日) 12:18:57.68 ID:8KcjYazA0
【初春飾利】

遠くで声が聞こえた。
誰かが苦しんで、叫んでいるような声。
それは少し、垣根さんの声に聞こえた。
もしそうだとしたら、どうしたんだろう?
どこか痛いところがあるんでしょうか。
もしそうだったら、早く病院に行きましょう。
また入院なんてことならないといいですけど。
もし違うのなら、どうしてそんなに苦しんでるのか、教えてください。
その苦しみから解放させる手伝いをさせてください。
ねえ、垣根さん。
どうしてそんなに苦しそうなんですか?


ゆっくりと意識が戻ってくる。
ああ、あれからどうなったんだっけ……。
もう白井さんたちはやってきてくれたんでしょうか……。
でも床が冷たいってことは……意識を失ってたんでしょうか。
じゃあ、あの能力者さんたちはどうなって……。
私はゆっくりと目を開く。

「……え?」

私の前に、垣根さんらしい人物が立っていた。
いや、これは垣根さん……?
後姿でよく分からない。
というより背中に生えている物体でよく分からなかった。
垣根さんの背中には六枚もの翼が生えていた。
とても白くて天使のような翼。
垣根さんが見る向こう世界は、きっと立っていたら翼が邪魔で見えなかっただろう。
寝ていたから、目線が低かったから、その向こうの世界を見ることが出来た。
とても残酷な世界が。

「あ……」

声が出なかった。
そこには先ほどの能力者と思われる人が血まみれになって倒れていた。

「うあ……」

その光景に胃が逆流しそうになるのをなんとかこらえた。
能力者たちは、まだ人間の形を残しているけれど、ほろぼろで、いまにも形を失いそうで。
もう生きているのかすら分からない。

「……」

そして私は垣根さんを見た。
表情は見えなかった。
けれど垣根さんの背中の翼の一枚が能力者へと襲い掛かるところを見てしまった。
一枚の翼は、多分私を何度も飛ばしていた風力使いと思われる人の体を突き刺して、
さっと包丁で野菜を切るかのように軽く腹を横に切った。
そう、上半身と下半身を見事に分けてきったのだ。

「グァ……」

その風力使いは苦しそうな少しの悲鳴を上げて、……動かなくなった。


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