73:87[saga]
2011/06/26(日) 12:23:09.56 ID:8KcjYazA0
【垣根帝督】
そうだ。
さっきの夢はまさしくこんな感じだった。
能力で出来た翼のようなものを使って、人を切り刻んでいく。
そしてそいつらは苦しながらも生きようと必死で……。
でも俺はそいつらの言葉に耳を貸さず……こんなふうに……。
「これ、俺がやったのか?」
「え……」
初春の顔を見ると、その目は泳いでいる。
それだけで確信できた。
そうか。そうだったのかよ。
「俺ってヤツは……ろくな人間じゃなかったんだな……」
さっきの夢はきっと現実。
そして殺していたヤツはきっと俺だ。
昔の俺は、人殺しを簡単に出来るようなやつだったんだ。
「っはは……なんだよ……。それ……」
そんなヤツがどうして生きてるんだよ。
入院するような何かが起きたのなら、そのまま放置して殺せばよかったんだ。
「垣根……さん」
「……俺を、捕まえるのか?」
「え……?」
「俺はこいつらを殺したんだ。いや、もっとたくさんの人間を殺した。あの時も……そうだ」
あの時の黒ずくめの男たち。
意識を失って、目を覚ますとそいつらは死んでいた。
そいつらもこの能力者と同じような死体だった。
「捕まえたりなんか……しません。垣根さんは……私を助けようとして……くれたじゃないですか」
「でも俺はコイツらを殺したんだ。……だって見てみろよ。誰も息すらしてない。
そして俺はかすかに覚えている。コイツらに能力を使ったこと……」
「垣根さ……」
「あっははは……! こんな人殺しなのに、なんであの時死ななかったんだ。
これじゃ、あの時捕まって研究材料になったほうがマシじゃねぇかよォ……!」
そうだ。あの時、アイツらについていって。
誰にも害を及ぼさない場所で一生研究材料として生きとけば!
初春にこんな姿を見せずに、コイツらを殺さずにいれたんだ!
80Res/71.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。