過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.10
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43: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/05/06(金) 05:02:37.14 ID:Y/8W3eaUo
「コスプレ大会に出たいだって?」
「だ、だめ……かな?」
「コスプレってあれだろ? アニメとかのキャラクターの恰好する――」
「うん。今度ね、メルルのコスプレ大会があるってね、前からアルちゃんになってみたいなーって思ってたの」

休日の朝から「お願いがあるの」と俺に擦り寄ってくるこの金髪幼女はブリジット。俺の妹だ。
綺麗なブロンドヘアーに、兄妹であるはずの俺とは似ても似つかない整った顔立ち。
そして、若干感情の機微が感じ取りにくい喋り方が特徴の女の子。

「出るったってお前……衣装とかどうするんだ? お前、アルちゃんの衣装とか持ってたっけ?」
「……持ってない」

だよな。俺が知らない内に買いためた大量のメルルグッズが押し入れの中から姿を現す――
なんてことを一瞬想像しちまったが、それも杞憂に終わったようだ。

規模こそわからないが仮にも大会というからには審査する人間や、多少なりともギャラリーがいるのだろう。
俺個人としては、妹にあんな露出度の高い恰好させて人前に送り出すなんてことは決して賛成できない。
ブリジットは先日10歳になったばかりなんだぞ。

ちなみに俺がメルルに登場するアルちゃんとやらの恰好を知っていたのは、ブリジットに付き合って常日頃からメルルを視聴しているからだ。
決して常日頃からアルちゃんにハァハァしているわけではないからな。
俺が2次元の美少女相手にハァハァするわけないだろ? そういうのを萌えとかいうらしいが俺にはよくわからない。

「まあ、そういうわけだ。こればっかりは諦めろ」

かくしてブリジットのコスプレへの挑戦は一瞬で頓挫したかに見えた。
が、しかし――

「……ふぇ…………ぐす…………」


この時、俺に電流走る。


俺が――俺がなんとかしなければ。

「ブリジット」
「ふぇ?」

唇をとがらせ、今にも泣きださんとばかりにぐずり始めたブリジットに向かって、俺はぐっと親指で自分の顔を指し示しながらこう言った。

「俺にまかせろ」


――――――――――

「お、俺は一体何をやっているんだ……」
「きょうちゃん、口より手を動かさないと今日中に終わらないよ?」

あの日から一週間後、俺は朝っぱらから田村家にお邪魔していた。
田村家でミシンを借り、せっせと裁縫に精を出す。
勘の鋭い貴兄らならもうお分かりだろうが、俺は今、ブリジットのためにアルちゃんの衣装を作っている。

コスプレ業界に関わらず、アニメ業界そのものにうとい俺がまず最初に考えた衣装を手に入れる方法が、既存の商品を買うということだった。
だが、既存の商品はどれもこれも露出が激しくブリジットに着せるには適さない。
原作を忠実に再現しているのかもしれないが、力を入れるところを完全に間違っている。
女児に着せるもんなんだから、もっと当たり障りのないデザインにしとけよ。誰が喜ぶんだ。
しっかりアルちゃんの衣装でありつつ、露出の少ない衣装というものはないのだろうか。


ないものは作ればいい。そう助言してくれたのは麻奈実だった。
俺が悩み事を抱えていることを一目で看破しアドバイスをくれただけでなく、なんとその手伝いまで申し出てくれた。
そして今、そのお言葉に甘えて手伝ってもらっているというわけだ。
本当にありがたい幼馴染だよ。

「……めんどくせえ」
「ほらほら頑張って、“お兄ちゃん”」
「あいよ」




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