過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.10
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860: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/06/09(木) 03:06:23.68 ID:j4iiwrrxo
「ただいま〜……って言っても、誰もいないけどな」

本日の業務を終え、仮の住まいに帰ってきた俺を出迎えてくれる者は誰もいない。
これは高坂家における長男の扱い云々が関係しているわけではない。現在、俺が異国の地で暮らしているからだ。

「はぁ……。今日も一日お疲れさん、っと」

さっきまで着ていたジャケットを脱ぎ、ネクタイを外した俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、その身をソファに沈める。
つい靴を脱いじまうのは、日本人としての習慣が身に染み付いているからだろう。
地元の大学を卒業した俺は、都内の会社に就職した。
それから四年が経ち、海外への長期出張が言い渡された。直属の上司が言うには、これは海外出向への前準備であり、出世コースらしい。
一週間ほどかけて色々と準備をして、今はサンディエゴにいるというわけだ。
海外に来たのはこれで二度目。前に来たのは桐乃を連れ戻す時だったな。
ここサンディエゴはロサンゼルスに近いので、訪れた当初はちょっとした懐かしさを感じていたりもした。
だが、あの時はすぐに帰国したが、今回は違う。短期間とはいえ、慣れない異国の地での生活。郷愁にかられるには十分だった。

「これじゃ、桐乃も調子が出ないわな」

俺の場合、周りには日本人スタッフもいるし、日本にいる友達や家族とも連絡を取り合っているから、アイツほど追い詰められることは無い。
それでもこの状態なんだから、当時中学生だった我が妹様のツラさは如何ばかりか。想像なんぞ出来るはずもない。

「ったく、意地もあそこまでくるとスゲーもんだ」

八年経って少しだけ理解できた桐乃のツラさを思い、ホームシックに拍車が掛かる。
そんな弱気な自分を振り払うため、俺はビールを勢いよく飲んだ。……あ〜、不味い。
アメリカの生活で気付いたことが二つある。一つは、日本のメシはスゲー美味いこと。もう一つは、人は寂しいとやたら独り言が多くなることだ。
そんな益体のないことを考えていると、アパートメントの扉がノックされた。

「……?」

時刻はまだ七時過ぎだが、知り合いの少ないこのサンディエゴでは訪問者自体が珍しい。この時間帯ならなおさらだ。
同僚の誰かだろうか? 俺はビール缶をテーブルに置いてドアに近付いた。ドアスコープ越しに外を伺うと、褐色の肌が印象的な黒髪の美女がいた。

(どこかで会ったことがあるような……)

俺の知り合いにはなにかと美人が多いが、それは日本人に限ったことだ。例外として、ブリジット・エヴァンスという女の子もいるが。
それでも、現在外にいる女性のような知り合いはいない……はずだ。
俺はドアロックを外し、チェーンだけ掛けたままでドアを開けた。

「Who is it?(どちら様ですか?)」
「It's Ria!(リアだよ!)」

ふむ。この女性はリアというらしい。
リア……リア……。どこかで聞いたことが……あ!

「リアって……、お前、リア・ハグリィなのか?」
「そうだよ! 久しぶり、キョウスケおにいちゃん!」


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