過去ログ - 律「終末の過ごし方」
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717:にゃんこ[saga]
2011/10/26(水) 20:56:40.90 ID:2qeuKkVP0





講堂の後片付けがそれなりに終わった後、
今日はもう遅いし、明日講堂が使われる予定も無いから、
講堂の後片付けはある程度で大丈夫だって和が言ってくれた。
それに残った講堂の後片付けは、
私達のライブを見に来てくれた先生達が明日やってくれるそうだ。

そんなのは先生達に悪いって私達は言ったけど、
和は微笑んで「先生達も好きでやりたい事らしいから」と返した。
申し訳ない気は勿論する。
でも、先生達の言ってる事も理解できる気はした。
私達はこの学校に三年間在籍しただけだけど、
当然ながら愛着もあるし、卒業する事に寂しさも感じてた。
だから、私達より遥かに長い間この学校に勤めてる先生達の愛着は、
私達の愛着なんか比べ物にならないくらいなんだろうな、って思う。
世界の最後の日も過ごす場所に選びたいくらいに……。
それでも私は何かを言おうと思ったけど、
和はもう一つだけ私達に先生達の言葉を代弁して贈ってくれた。

「若いんだから、思うように生きなさい。
後片付けくらいは先生達に任せてくれていい。
いいライブを見せてもらえたお礼だ」

そう言われちゃ、私も引き下がらないわけにはいかなかった。
そうして、私は和に今は居ない先生達へのお礼を頼んで、
澪と一緒に皆の荷物を音楽室に取りに行く事にしたわけだ。
唯達はもう少しだけ講堂を片付けるらしい。
主にムギの持って来たケーキの箱の後片付けだけどな。
先生達が明日片付けてくれるとは言っても、
流石に自分達の持って来た物くらいは片付けておかないとな。
唯達とはその後で校門で合流する事になってる。

私は澪と手を繋ぎ、無言で音楽室に向かって行く。
二人の間に言葉は必要無かった……わけじゃないけど、
多くの想いが胸の中に生まれては消えてて、上手く言葉にできそうになかった。
ライブ中、澪とセッションしながら、私は気付いていた。
今更過ぎるけど、私は澪の事が本気で好きなんだって。
傍に居たいし、抱き締めたいとも感じてる。誰よりも大切にしたいとも。
これは恋愛感情……なんだろうか?
またそこが分からない。
根本的な問題になっちゃうけど、友達と恋人の境界線は何処にあるんだろう?
傍に居る事や抱き締める事や誰よりも大切するって事は、
別に恋人じゃなくても友達って立場のままで十分にできる事だと思う。
だったら、友達と恋人の境界線って何だ?
やっぱり、アレなのかな……?
キス……とか、オカルト研の中に居た二人みたいに裸で、とか……。
そういう事をしてこその恋人なのかな……?

変な事に思い至ってしまって、私は自分でも分かるくらい顔を赤くしてしまう。
でも、これも澪と友達以上恋人未満の私としては、考えなきゃいけない事だよなあ……。
こればかりは私一人で答えを出せる事でもなさそうだ。
明日、勇気を出して、澪の家でその話をしてみようと思う。
「恥ずかしい事を聞くな!」と五回くらい殴られるかもしれないけど、覚悟を決めて話し合おう。
それこそ私が明日やらなきゃいけない事だ。
にしても、五回か……。
あいつ腕力結構あるから、五回殴られるのは辛いな……。
だけど、澪に殴られるんならあんまり嫌じゃないかな……、って私ゃМか!
……一人でボケて、一人で突っ込んでしまった。
誰が見てるわけでもないのに、何だか気恥ずかしい。
恋愛初心者の中学生みたいだな、ってつい苦笑してしまう。
もうすぐ世界の終わりなのに、こんな事で思い悩めるなんて、すごい幸せな事なのかも。


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