過去ログ - 律「終末の過ごし方」
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723:にゃんこ[saga]
2011/10/26(水) 21:00:17.80 ID:2qeuKkVP0
「唯。お菓子に釣られてかもしれないけど、軽音部に入部してくれてありがとう。
おまえのおかげで廃部を免れたし、おまえの笑顔を見てるのは楽しかったぜ?
私もおまえのおかげで辛い時も笑顔になれてたと思う。
だから、笑ってくれ、唯。私はおまえの笑顔が大好きだ。
私だけじゃない。皆、唯の事が大好きだよ」

「え……、えへへ……。
そっ……だね。そっ……だよね。
楽しかった……もんね。
この三年間、ずっと楽しかったもんね。
笑ってなきゃだよね。
明日の事は恐いけど、でも、何か私、気付いちゃった。
りっちゃんのおかげで気付けちゃった。
これからの事を恐い気持ちの大きさと、
今まで感じた嬉しい気持ちの大きさを比べたら、
嬉しい気持ちの方がずっとずっとずーっと大きいよ! 何かすごいよね!
それが分かっちゃったら、笑ってない方が勿体無いよ!」

「もう……。
唯先輩も律先輩も何を言ってるんですか……」

呆れた声色で梓が呟く。
梓はもう、震えてなかった。

「そんなの当然じゃないですか。
笑ってる方が楽しいんだって、
幸せな気持ちでいた方が素敵なんだって、
それを教えてくれたのは先輩達じゃないですか。
だから、先輩達は責任を取って笑ってて下さい。
私なんか、先輩達のせいでよく「梓、変わったよね」って言われるようになったんですからね。
無理矢理影響を与えた責任を取って下さいよ!」

「あずにゃん、横暴だー……」

「横暴じゃありません!」

梓が言うと、唯の震えも止まり、
唯と梓は私の腕の中で顔を合わせて笑った。
釣られて、ムギも笑い始める。

「嬉しいな。
こんなに大切なお友達ができるなんて、とっても嬉しいな……。
私ね、皆には言ってなかったけど、本当は不安だったの。
桜が丘に入学したのは自分の意思だったんだけど、
知り合いなんてほとんど居ないし、お友達ができるかのかなって不安だったの。
でもね、すぐにりっちゃんと澪ちゃんが軽音部に誘ってくれたでしょ?
最初は単に面白そうだなって思ってただけだったんだけど、
りっちゃん達は楽しくて優しくて……、それがすっごく嬉しかった。
それを思い出すと、明日なんて恐くないよ。
これからも何度も恐くなるかもしれないけど、
皆が傍に居た、皆が傍に居るって思うと大丈夫。
私達はずっと一緒だもんね。皆のキーホルダーみたいに。
私にも見えるよ。今は此処に無い皆の鞄のキーホルダーが。
勿論、梓ちゃんのキーホルダーもね」

最後に澪が力強く腕を広げ、
皆の背中に手を回すと一言だけ言った。
もう多くを語りはしない。

「私達はいつまでも仲間だよ」

当然だ、と言う代わりに私はまた皆を強く抱き寄せた。
皆の体温を皆で感じ合う。
私達は生きた。私達は生きてる。
この生きた証を……、皆の体温を最後の時間まで絶対に忘れない。
少し名残惜しかったけど、私は皆から腕を離す。
別の道を歩いても、離れていても、仲間なんだ。


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