2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]
2011/05/09(月) 17:53:52.09 ID:iXvYaijj0
――月曜日――
「はぁ……」
晴れ渡る空の下、とある公園に設置されているベンチに座り、俺は溜め息を吐いた。
春の陽気が暖かく、また春休みということもあってか、たまに目の前を通る人々もどこかのんびりとした顔をしている。
その光景を見て俺はもう一度だけ溜め息を吐く。
「まだ来ねぇのかよ」
そんな呟きも春の風に乗ってどこかへ消えてしまう。
当然、その呟きに反応する人など一人も居ない。
そう。俺は人を待っている。
ただ待ち合わせではないけれど。待ち人の顔も名前も知りはしないけれど。
人を待っている。
「不幸……なのかぁ?」
あのトンデモナイ出来事がなければ信じることは出来なかっただろう。そして彼から回ってきた役割もやろうとは思わなかっただろう。
『対象者』から『ナビゲーター』となった俺。一生に一度のチャンスを使った結果、ここに来た俺。
……と、このままでは何を言っても意味が分からないだろうと思うので、簡単に説明しようと思う。
チャンスシステム。
人は誰でも、一生に一度だけチャンスが訪れる。それは、ひとつだけ好きな願いを叶えてもらえるというもの。
『対象者』となった人のもとへ『ナビゲーター』が赴き、チャンスシステムのシステムを説明、そして願い事の受理をする。
願いを叶えたら、その対象者が自動的に次のナビゲーターになり、リレーのように巡っていく。
その他に細かい【ルール】がいくつかあるが、今は割愛しておこう。どうせ説明しなくちゃならないし。
つまり俺は願いを叶えてもらい、こうして次なる対象者を待っているわけだ。
対象者はナビゲーターに引き寄せられるという効果があるため、俺は動く必要が無くベンチで座っているんだけど……。
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