41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]
2011/05/12(木) 00:36:56.64 ID:DyCjPhXi0
「ルールを決めましょうか」
狭い台所にルールの強制力のおかげで二人が立ち、苦戦しながらも完成した昼食のピラフを食べ終えた御坂は唐突にそう言った。
それにしてもまさかコイツがあんなに料理が上手だとは思わなかった。ピラフが好物になるほどに。
「ルール?現時点でも厄介なルールに縛られているっていうのに、これ以上増やすのか?縛られるのは見えない縄だけにして欲しいんですが」
「アンタねぇ……一週間とは言え共同生活を送るのよ。だったら共通のルールを決めておかないと色々まずいでしょうが」
同姓ならまだしもね、と御坂は溜め息を吐いて既に食べ終えていた俺の食器を自分の食器に乗せて、後片付けを始める。
こういった所がまた、意外な一面だったりもする。
「例えば寝る場所だったり、お風呂の順番だったりね」
「別に上条さんは床で寝ますし、風呂もお前の後で構わないぞ?料理に関しては否応無しに共同作業になるし、それ以外の作業も似たようなもんだ」
一メートルのルールがある限り、あまりそういった決まりは意味を成さない気がする。
「私がお世話になる身なんだから、寝る場所はアンタに譲るわよ」
「はぁ。何かお前やけに気を遣うよな?いつもだったら『とーぜん私がベッドよ』くらい言うだろうに」
「アンタは私のことをどれだけ常識知らずだと思ってるのよ……」と首を横に振る御坂。
「これでもアンタには色々助けてもらってんだから、恩を感じてるのよ?いつもは上手く伝えられないだけで」
「それは冥利に尽きるといいますか、有難い話だな。別に俺に恩を感じる必要なんて無いだろう。たまたまその現場に俺が居合わせただけで、普通だよ、普通」
そんなに大それたことはやってきたつもりは無い。たまに俺のことを聖人のように言う人がいるが、勘違いも甚だしい。
困っている人が居たら、何とかしてあげる。そんな『普通のこと』をしているだけだというのに。
御坂は俺の言葉に少し呆れたような表情を浮かべ「ま、アンタはそう言うでしょうね」と言って、流し台へ食器を持っていく。
俺は引っ張られないように慌てて立ち上がり、後をついていく。
こうやって話しているとうっかり忘れてしまうので、慣れるまでは少々時間がかかりそうだ。
それにしても、厄介なお願い事だ。
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