640:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/06/20(月) 21:39:29.44 ID:VAJ2Seceo
それから暁美ほむらは、魔法の旅をした。
なにせ、魔法なのである。
あらゆる負担のない旅──
危険な事が、何もない。
同行者、上条恭子が何もかもを手配する。
暑い国では暑い国の衣食。寒い国では寒い国の衣食。
時間も金銭も、己の負担ではない。
ほむら「(……楽しい)」
あり得ぬ高速移動。
できるはずのない会話。
脂ぎった肉の塊を食しても、香辛料たっぷりの麺を啜っても、煮付けられた昆虫や、卵のまま茹でられた雛鳥をかじっても。
山の湧き水を飲んでさえ、腹を下す事もない。(一部、気分は悪くなったが)
全てが気分のまま衝動のままに実行できる旅で、ほむらは驚きの連続を味わう。
ほむら「(そっか、私って、こんな風に笑えるんだ)」
ほむら「(そっか、世界って、こんなに楽しいんだ)」
ほむら「(そっか、魔法って、何でも出来るんだ!)」
オーロラなんて、魔法でもなければ一生、目にする事はなかっただろう。
ループする時間の迷路、幾度の失敗と失望を重ねた日々が、もはや遠い。
振り返りたくもない、苦痛の日々。いよいよ破れかぶれの本末転倒、鹿目まどかの死を望み、しかしやはり仕損じた今回。
──とうとう、暁美ほむらは諦めた。
ほむら「(ごめんね、まどか。約束、守れない)」
あれほど恐れていた、目を瞑るという行為に、絶望感はなかった。なぜなら、楽しかったからだ。嬉しかったからだ。
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