770:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/07/03(日) 22:16:21.67 ID:2bNSmr0Yo
インキュベーターにとっては、抱き込んだ卵が、どれだけ害意や悪意に満ちていようが、構わない。
契約した少女が何をしようが関与はしない。あらゆる犯罪を起こしたってよいのだ。
肉体の檻にも精神の檻にも閉じ込められた人間の脳では、扱える魔法は限られている。
それに伴うエネルギー消費も微々たるもので、孵化に匹敵した例はない。
上条恭子が、たとえば美樹さやかを八つ裂きにしても、巴マミを八つ裂きにしても、どころかこの星を八つ裂きにしても、同じ事だ。
むしろそれほどの魔力を持つなら、魔女化の際に発生するエネルギー量は相当なものになる。万々歳だ。優秀な卵だ。
──構うのは、抱えたそれが卵でなく爆弾であった場合。
星どころか宇宙そのものを破壊してしまうようでは、困るのだ。
ようは、嘘であればよい。
彼女が宇宙破壊爆弾などというシロモノでなければよい。
すべてが彼女お得意の嘘であれば、よいのだった。
糞便帝国などない。悪魔の面影などない。厄介なバグデアリウィルスなどない。
上条恭介ならびに上条恭子は、真実味のある虚言を並べ立てているに過ぎないのだ、と。
そしてキュゥべえは、それが嘘である根拠を探した。
この一連の解析のために、端末の半分が潰れてしまった。計算の過負荷が、肉の詰まったぬいぐるみを塵に変えた。
ノルマ達成に支障が出るギリギリまで脳を焼きながら、焼き尽くしながら、キュゥべえは卵の内側を探り続けた。
結果としては、全敗だった。
予想とは詳細が異なる可能性はあるが、糞便帝国の存在と脅威は変わらない。悪魔も出処はどうあれ現在、上条恭子の内にある。
彼女は宇宙を滅ぼす事が可能だと、キュゥべえは認めた。
即座に方向を切り替える。どうすれば、阻止できるのか?
バアルゼブル。ベールゼビュート。気高き王。糞山の王。暴食の司。死霊の司……。
箱の中のオセロの勝敗は、まだ観測されていない。
いのり ねがい わすれないで きみがいった──
心中しようね。
全ての警句は、最後にはメメント・モリ。
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