771:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/07/03(日) 22:19:41.03 ID:2bNSmr0Yo
結果としては、全敗だった。
全戦全敗だった。
けれどキュゥべえは、今この瞬間も、卵の真意に挑み続けている。
戦って、負け続けている。
数字の塔が高速回転し、摩擦に処理の偏りも重なって、熱を発する。百の端末がいっぺんに潰れる。
引き替えに弾き出される解と、弱まるプロセッサーの内圧。更なる検算をぶん投げる。
この熱量で、その気になれば、星一つ分をバーベキューできる。
だがそれでは、宇宙破壊爆弾には適わない。
必要なのは完全勝利。
勝つ事は、生き残るコト。
そのために、負け続ける。
(ボクらには感情がない)
負ける事は恥ずかしくもない。
理解できぬ事が、恐ろしくも思わない。
(ボクらは宇宙を維持するために在るのだ)
だから、全廃だけは、ごめんこうむる。
光あれ、と誰かが言った。
光ならある、とキュゥべえは思う。
明るい材料はある。
その気になれば今すぐ宇宙を壊せるくせに、上条恭子はいまだインキュベーターを殺さない。
それは慢心からの油断なのか、また計策の内なのかも判らないが、ならば怯んで恐れて尻尾を巻いて隠れる気にはなれない。
宇宙の果ても、ドラム式洗濯機の奥も、どこへも逃げる事はできない。どこへも逃げない。
情報は死なず、時間は生きている。
だから解析を止めない。歩みを止めない。宇宙が死ぬその瞬間まで。
狼気分で、牙を剥く。
滅びも嘆きも、ごめんこうむる──心中なんか、クソクラエ。
(しかしキミと出会ってから、ボクは、キミのコトばかり考えているよ、恭子)
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