779:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/07/17(日) 22:39:26.38 ID:utcPm39Ao
「マミ、落ち着け!」
「気をつけて杏子、さやかさんをお願い!」
杏子は仲間を気遣い、マミもまたショックを封じ込めて、迎撃態勢に入る。
「さやか、待ってろよ」
防壁となる緋色の鎖を、杏子は紡いでいた。さやかを寝かせ、取り囲むように鎖を置く。
その結界と同時に、魔方陣も完成した。強く輝き、白薔薇のつるが巻き付いた門を出現させる。
門の前に立った恭子がパチンと指を弾くと、扉が勢いよく開き、油虫の大群が羽ばたき飛び出してきた!
「『ラウラ・アウレオ』」
マミの優雅なピルエットが、花の香のする風を起こす。
このきらめくそよ風は穏やかに生まれ、急速に育つ。まっすぐぶつかってくる虫達は、牙を剥く暴風の渦に次々と砕かれた。
ばらばらと落ちるのは、黒曜石の珠のかけらだ。虫の姿もまた幻覚なのだ。
粉々の黒い宝石を踏みつけ、杏子が駆ける。
「観念しな、すけこッ!」
「うん、優しくしてね」
あと一歩で攻撃が届く距離、気がつけば恭子と白薔薇の門は、巨大なホットドッグになっていた。
それは獲物を待つハエトリグサにも似て、だらしなくパンズを開き、よだれのように脂を滴らせている。
「泡噴かせてやるよォッ」
土壇場で魔力による強制ブレーキ、見えない壁にぶつかる衝撃の中で念じる。意思のままに槍は多節棍に変わった。
あれだけダミーを繰り出されたのだ、もう同じ轍を踏まない。
前も後ろも、まとめて薙ぎ払った。
砕ける腸詰めとレタス、汁を纏った拳大のマスタードの粒、それと背後に現れた上条恭子の肢体が、宙を舞う。
まだ空中の敵に飛びついて、杏子は馬乗りになった。
「どうだ」
「さすがだね、杏子さん。泡噴くほどじゃないけど」
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