過去ログ - さやか「きょうこ、きょーこ」
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830:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/11/06(日) 07:52:57.60 ID:p4laV2rSo
 見知らぬ人々が己の神を────父を崇拝する事を望んだ。
 そのためなら、何もかも。ほんとうのカミサマさえも。

 それが佐倉杏子、根源の魔法。
 歪曲聖教。
 杏子を中心に、世界はカルマン渦列に呑まれていく。

 風景は抽象画と化し、着流しの少女もその一部となりかけていた。
 キャンパスに筆を走らせるように、杏子の槍が振るわれる。
 ベージュの渦からカーマインの渦が生まれ、そこから歪曲に取り込まれた少女のパーツがこぼれ落ちる。
 手。足。
 紡錘よりねじくれたそれは、常人には、人間の一部とすら判別できまい。
 どちらが魔女なのかも見誤るだろう。画に囚われて四肢をもがれる少女と、高笑いを上げて槍を振るう少女。

 そう、杏子は笑っていた。
 気分が高揚していた。
 この魔法、この奇跡を、よく封じていたものだと思う。
 己はこんな事ができたのか。その気になれば、簡単に消してしまえるものなのだ……理性など。

 渦巻くキャンパスに深々と、刃を差し込んだ。
 グッと力を入れて、抜く。引きずり出された少女の胴体は、正常な立体感を取り戻して、重力に従う。

「ミミズみてーだな」

 転がる他人の頭を踏むという事も、やってみれば、簡単なものだった。
 もっと早くすればよかったな、踏んでやればよかったな、と思う。その気になれば、よかったのに。
 この街に戻ってきて、マミに喧嘩を吹っかけた時。あの横たわった姿。張った尻、大きな胸を、潰れるほど。
 ベッドで遊び続けて、疲れ果てて寝入ったさやかの柔らかい髪。汗にまみれた足の裏を擦りつけてやりたかった。
 踏みつけて。
 踏みにじって。
 こんな事を考える自分は、悪い人間だろう。

 けど、悪で何が悪い?


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