過去ログ - フレンダ「結局、全部幻想だった、って訳よ」
1- 20
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/29(日) 15:38:59.84 ID:zkGAG4J7o
 それから数日の間、同姓の女の子からは綺麗で可愛い、と、もて囃された。隣のクラスからも覗きに来る子供も見た。
 当然といえば当然。人形のような可愛いものが大好きな女の子なら彼女に憧れを抱いても仕方のないことだと思う。
 そして話す相手はできた。友達といえるような人もできた。
 しかし、だ。
 ここは日本で――そして、彼らは日本人だった。

 日本人、というのは中流意識が染み付いている民族である。
 勿論稼ぎが多くなって贅沢な暮らしができればもっといいのだろうが、それよりも周りよりも秀でない、周りよりも抜きん出ない、所謂『普通』を求める傾向が強い。
 『出る杭は打たれる』という諺がある。日本はそれを地で行くためにそういった考えが生まれるのだ。
 今となっては外人がいることは普通になっているが、昔はそれほどでもなかった。だから尚更彼、或いは彼女に嫌悪感を抱く日本人も少なくなかった。
 そして子供にはその自分とは違うものを排他するという精神が大人よりも強い。

 綺麗なのはいい。可愛いのも問題ない。
 だが。彼女の少し不自然な口調や、髪色、肌の色はどうしても彼女と自分たちとは違うという考えを生み出す。
 それでも、初めのうちは何もなかったのだ。友達もできて、果たして普通に過ごしていたに他ならない。良くも悪くも彼女は可愛くて、人形のようだ、という位置を得られたから。
 つまり――切欠がなかった。
 罅の入ったダムは直ぐに瓦解するように。火さえつけば直ぐに伝わる導火線のように。

 その瓦解するダムにとっての『罅』、導火線にとっての『火』が、彼女が入園して僅か一週間で発生した。

 『外国人による、日本人の殺人事件』――それが、事件の概要だった。
 国も違う。系統も全く違う。フレンダには、なんの関係もない事件の筈――だったのだ。
 だが、テレビでその概要を見ていたコメンテーターはこんなことを言った。

 『こうなるから外国人の入国を日本は認めるべきではなかった』、と。

 それは偏見だ。街中を歩く一部の高校生を取材して、『これが最近の高校生の実態だ!』とグラフをつくるようなことと同じことだ。
 しかし、日本人は均一的な民族で。そして日本にいる外国人は決して数が多いとは言えない時期で。
 だから、そういったことが起こってしまったのだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/697.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice