過去ログ - フレンダ「結局、全部幻想だった、って訳よ」
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989:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/01(金) 14:45:48.18 ID:UWNiv0mPo
 手洗いに行っていたのか、遅れて出てきたカップルが彼らを見て顔を赤らめつつそそくさと去っていく。
 けれど、そんなのは彼、彼女には関係なく。
 きっと周りに数十人の人間がいたとしても、二人は二人だけの世界に飛び込んでいただろう。

「当麻」

「……絹旗」

 抱きしめたまま、名を呼び交わす。
 しかし絹旗は不服の声を上げた。

「その絹旗っていうの、そろそろ超やめてほしいんですけど」

 ずっと思っていたけれど、ずっと言えなかったこと。 それは自分を固有名詞で呼ぶな、と言っているわけではない。
 今ならきっと、すぐに理解して貰える。
 その予測通り、上条はすぐにその意図を理解して。

「えっと……それじゃあ……」

 『最愛』、と。
 彼女が待ち焦がれた呼び名で、少年は少女を呼んだ。



 『窒素装甲』で自分を覆っていた膜は上条の右手で消えていて、今や彼女は夏服で吹きさらし。
 けれど、そんな肌寒さよりも、心の暖かさの方が強く優っていた。

「当麻」

 ただ、少年の名を呼んで。
 そして、少女は告げる。

「ハッピー・バレンタイン」

 この日に、最上の愛を誓う、と。




 fin.


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