17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/05/22(日) 20:42:03.31 ID:LrbQxZtRo
何かがおかしい。
けれど何がおかしいのかが分からない。
どれだけ思い出そうとしても――[禁則事項です]に関する事だけが思い出せない。
いや、失ってしまったのではない。
思い出そうとする行為自体ができない。
思い出せないのではなく、思い出そうとする事ができない。
それに関する事象を回想する事そのものが禁忌に触れるかのように。
記憶の水底にある扉の前に立てども鍵もなく、中に何が入っているのか分からない。
これではまるで[禁則事項です]みたいじゃない、と御坂は思う。
でも、とても恐ろしいものが封じられている事は理解できた。
まるで禁断の果実のよう。
食べてしまえば後戻りはできない。その先に破滅が待っている。
楽園のような一瞬の永遠は破壊され荒野を放浪する事になる。
けれど――。
「……ねえ」
御坂は一度目を強く瞑り、それから再び開き、金髪の少女を見据える。
「これ、アンタの仕業?」
「結局、何の事かしら」
よくもまぁぬけぬけと、と御坂は思う。
白々しいにもほどがある。動かない頭でも彼女がしらばっくれている事くらいは判断できる。
いや、むしろ彼女こそそうと分かるように振舞っているだけなのだろうか。
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