過去ログ - 御坂「幸福も不幸も、いらない」
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559:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/09/12(月) 00:44:05.76 ID:hg4EU4/ho
「……。……」

姫神の表情は晴れない。
彼女の不安を取り除く事などできはしないと月詠自身も分かっている。
だが姫神もまた月詠の生徒だ。

「大丈夫ですよ」

何の根拠もなく、ほんの少し気休めになればいい程度の言葉だが月詠は笑顔で言った。

「きっと来週にはまた会えますよ。
 だって上条ちゃん、そろそろ本気で出席日数が拙いですからねー。本人にも言ってるんですけど」

はぁ、と嘆息し月詠は苦笑して姫神を見る。

「だからその時は、姫神ちゃんも一緒に怒ってくださいね。
 いい加減に危機感を持ってもらわないと進級できないかもしれませんから」

「それは……。……困る」

そう言う姫神の顔が少しだけ笑みを浮かべたように見えたのは気のせいだろうか。

「それじゃ、私はそろそろ仕事がありますから」

「うん」

「また来週。姫神ちゃんも、風邪とか引かないでくださいね? 入れ違いにお休みだなんて、嫌ですよ」

半ば強引に会話を断ち切り、月詠は教室を後にした。
そろそろ限界だった。引き際は肝心だ。

「上条ちゃん……土御門ちゃん……、……」

誰にも聞こえないような小さな声で名を呟く。
あまり口煩くは言いたくないが、来週になっても出席しないようだったら直接寮へと乗り込まなければならないかもしれない。
場合によっては第三者、彼らの同居人や妹からも言ってもらえるように頼まなければならないだろう。

そんな憂鬱と不安を抱えながら月詠は職員室へと急いだ。

顔に笑顔の仮面を貼り付けたまま。胸の中に何かしこりのような蟠りを感じながら。



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