581:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/08(土) 21:50:33.23 ID:0NNV7K9wo
「ん、よし」
頷き、それから彼女は右手で左腕を抱くように胸に寄せ、まるで何かに祈りを捧げるように目を閉じる。
「――――――」
小さく何か囁き、同時、左の手指に口が触れた。
もし神という存在がいたとして。
そんな最低なヤツになんて祈りを捧げる必要はない。
カーテンの開け放たれた大きなガラス窓から見える夜景はちかちかと、まるで満天の星空のようだ。
空は雲が広がっているが、所々に切れ間がある。しかし下界が明るすぎて星は見えない。
壁際、ハンガーに掛けられた黒い上着を手に取り、袖を通す。
何故ならここから先は悉く地獄の底まで一方通行で。
故に、ここには救いも願いも祈りも赦しもなく。
だからこそ、
「――――――さぁ」
ばさりと、黒衣の裾を翻し彼女は発つ。
ようやく、燦然と煌く摩天楼の下に広がる地獄の舞台に。
主演が登場する。
606Res/449.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。