820: ◆IsBQ15PVtg[saga sage]
2012/03/25(日) 23:25:11.22 ID:1GUWnw1t0
佐天「ひっ!!」
思わず、情けない声をあげてしまう。
呼吸も、心臓の鼓動も、少し荒くなってきたかのように感じられる。
赤く染まった、指先。
そして、かすかに鼻を突く、鉄の臭い。
頭を打って、できた傷から流れ出た――佐天の血だった。
佐天「なにか……止めるものは……」
ゆっくりと周囲を見回す。
止血できるようなもの――たとえば、布などがないか、周囲を見回した。
しかし――見たところ、それらしきものは落ちていない。
この屋根裏のスペースに、そんなに都合よく物があるわけがない。
蛍光灯の照明が、真上の裂け目から照らしつけているあたり以外は、真っ暗だった。
よく見えない。
辛うじて、数個の壊れた椅子や机、さらには小児用の上履きが転がっているぐらいだった。
目の前に見える――開きかかった、教室の引き戸。
その真下――ちょうど床の裂け目から50センチほど下には、小さな椅子があった。
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